「日本の略奪」後600年ぶりに戻ってきた高麗仏像…故郷で100日過ごして出発
高麗金銅観音菩薩坐像、来春に日本に返還される見通し
韓国の窃盗団が日本の対馬の寺院から盗んで国内に持ち込んだ高麗金銅観音菩薩坐像(仏像)が、来春にも日本に返還される見通しだ。 日本の共同通信は27日、仏像の所有権を主張してきた瑞山(ソサン)の浮石寺(プソクサ)住職の円牛(ウォヌ)僧侶が、来年5月以降に長崎県対馬の寺院、観音寺にこの仏像を返還することについて、「協力する」との意思を表明したと伝えた。 高さ50.5センチ、重さ38.62キロのこの仏像は、2012年10月に韓国人窃盗犯に盗まれた。窃盗団は国内に持ち込んで売ろうとしたが、2013年1月に摘発され、仏像は押収された。その後、仏像は国立文化財研究院が保管してきた。仏教界は、この仏像は1330年ごろ、忠清南道瑞山の浮石寺で作られ、1352~1381年の瑞山一帯に対する倭寇の侵略時に略奪されたと推定する。その後、仏像は1526年から観音寺に400年間あまりにわたって奉安されていた。仏教界は、倭寇に略奪された仏像であるだけに(韓国に)返還されるべきだとして運動を開始。浮石寺は2016年に国を相手取って仏像の引き渡し請求訴訟を起こし、所有権をめぐる攻防が続いていた。 昨年10月に最高裁判所が仏像の所有権は観音寺にあるとの判断を下したことで、法的紛争は一段落したが、仏像はまだ返還されていない。最高裁は、仏像は1953年に法人を設立した観音寺が、盗難にあった2012年まで20年以上所有していたため、所有権は観音寺にあると判断。他人の物であっても問題なく一定期間占有していれば所有権が移ったとみなす「取得時効」の法理に則り、仏像の所有権は正常に観音寺に移ったという論理だ。 円牛僧侶はこの日、ハンギョレに「最高裁が日本に所有権があると最終判決を下したため、(仏像は)日本に戻る立場にある。しかし、過程がどうであれ(仏像が)600年ぶりに故国に帰ってきたのに、もともといた浮石寺に一度も帰って来ることなく、収蔵庫に収められただけで戻されるというのは残念に思う。また、そうあってはならないと思う」と述べた。浮石寺は 仏像を観音寺に引き渡す前に100日間の「親見法会」の開催を認めてくれるよう要請し、観音寺側も要請を受け入れたため、春に法会を行うことにしたという。円牛僧侶は、法会によって「仏者や市民、希望するすべての人々が来て仏様(仏像)にお会いできる」だろうとし、「100日にわたって行う」と説明した。また「法会が終わったら(仏像を)送り返すことにした」と語った。円牛さんは法会について「正確な時期は決まっていない」としながらも、「冬が終わる時点ではじめる」との考えを伝えたと説明した。共同通信は、観音寺側は、来年5月15日よりも前に返還を受ける方向で調整中だったが、法要(法会)の日程が遅れれば返還時期も遅れる可能性があると伝えた。 韓国の窃盗団が2012年に同仏像とともに対馬から盗んで国内に持ち込んだもう一つの仏像、銅造如来立像は、所有権を主張した者がおらず、2015年に日本に返還されている。 キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )