途絶えかけた伝統「救出」事例も 「地域おこし協力隊」開始10年
荒尾市「卒業したら終わりじゃない」
前田さん夫妻が定住している荒尾市は、地域おこし隊制度が始まってから6年目の2015年に受け入れを開始した。累計受け入れ者は現役隊員を合わせて8人(2019年12月現在)で、第一期の卒業者4人は、前田さん夫妻を含めて全員が同市に引き続き居を構えている。 定住率について荒尾市の担当者は、総務省調べの平均の六割を念頭に「比較的順調なのかなという印象」と話す。定住した人はいずれも起業や地域の事業所に就業している。同担当者は「地元の人や関係団体と交流して、自分で中に入って行って研修などの機会を得るなど、地道に活動していった結果と見ています。ご本人たちのやる気や気持ちが一番大きい」という。 同市は引き続き隊員を受け入れる見通しで、「卒業したら終わり、じゃなくて、移住から卒業後の定住までをつなげたい」としている。今後は現役隊員と卒業生のネットワーク作りをサポートするなどし、行政と連携した地域の活性化につなげていきたいとしている。 (取材・文 村松まどか)