大原千鶴さんのらくちんきもの術!「うそつき袖」で楽しむコーディネート
人気料理研究家の大原千鶴さんが、初のきものスタイルブック『大原千鶴の京都きもの暮らし』を上梓。 生家である料理旅館「美山荘」の手伝いを始めた18歳の頃からきものを着続ける大原さんにとって、きものは仕事着であり日常の装い。日々のことだからこそ、気負わず、心地よく。楽しみながららくちんに着る術を心得ています。 最新刊『大原千鶴の京都きもの暮らし』から一部を抜粋して、大原さんのきもの術の一つ「うそつき袖」の楽しみ方をお届けします。
うそつき袖をきものに 文=大原千鶴
訪問着などのフォーマル以外は、手持ちのほとんどのきものに「うそつき袖」をつけています。袖口と振りからのぞく長襦袢の色柄がきものごとに異なるので、皆さんから、長襦袢を何枚も持っているように思われるのですが、実は長襦袢を着ていません。
表から長襦袢を着ているように見える「うそつき袖」は、きものの袖裏の胴裏生地部分に、表には針が通らないようにしながら、袖口と振りから見える部分だけに布を直接縫いつけます。うそつき襦袢に袖をセットするのが一般的ですが、そもそも発想が違います。
イメージをふくらませながら布を選び、気軽にコーディネートを楽しんでいます。布が余分にあるときには、袖全体に布を縫いつけます。器用な方は自分でも縫いつけられますが、私は行きつけのお店、着物 だいやすさんにお願いしています。
大原千鶴(おおはら・ちづる)
京都・花脊の料理旅館「美山荘」の次女として生まれ幼少の頃から料理に触れて育つ。現在は京都市内に住まい、料理研究家として多数の料理番組に出演。講演やエッセイ執筆、商品開発アドバイザー、CMやドラマの料理監修など幅広く活躍。二男一女の母として培った、家庭的かつ美しい料理に定評がある。初のきものスタイルブック『大原千鶴の京都きもの暮らし』大好評発売中。