「クリスマス」で街も華やか…子どもらの笑顔、家族や恋人や友達と楽しく過ごす夜に
きょうはクリスマス。街角のイルミネーションも増え、雰囲気も高まっています。読売新聞朝刊の投書欄「気流」にはクリスマスに関する投書がこれまで寄せられてきました。記者の心に刺さった投書を紹介する「ササる投書」、今回のテーマは「クリスマス」です。(※投稿者の年齢や職業などは掲載当時。紙面では実名で掲載)
サンタが来た、はしゃぐ我が子
15年ほど前、居酒屋店長だった私は、夜中に帰宅してから幼い子供たちが用意した袋にプレゼントを入れるのが、サンタとしての毎年の仕事。事前に子供にサンタ宛ての手紙でほしいものを書かせ、それが入手困難なゲーム機なら早朝から店に並んででも買う、まさに一大イベントだった。
ある年、袋に「サンタさんお疲れ様。クッキーとミルクを用意したのでどうぞ。それとサインください」と書いてあった。おいしく食べて「サンタクロース」とサインして眠った私は、間もない朝5時頃「サンタが来た」と興奮した子供たちに起こされてしまったことを、今も覚えている。
その子供たちは今や大学生と高校生だ。(51歳・介護職員=東京都、2023年12月24日掲載)
イブにわざわざサンマ
父は肉が大嫌いで、家族が食べているのを見るだけで嫌な顔をした。母は、肉が大好きな子供たちと、大嫌いな父の間で苦労したのだろう。小さい頃は、人並みにフライドチキンなどを食べさせてもらっていたが、次第にクリスマスというイベントは、我が家から姿を消していった。
大学生の時だった。クリスマスイブに何の予定もなく、まっすぐ帰宅する我が身を苦々しく思いながら、玄関の戸を開けると、なんとサンマを焼く匂いがした。「まさかイブにサンマ?」と、不満を漏らす私に、母は言い放った。「うちはクリスマスなんて関係ないから。キリスト教徒でもないし」と。
「だからといって、イブにわざわざ旬でもないサンマを焼かなくても」というつぶやきは聞き流された。今となっては笑い話だが、あまりにも夢のないクリスマスイブだった。(36歳・薬剤師=愛知県、2018年12月23日掲載)