東京都江東区の団地1階で営業中!日本人の飲み方に合った“ブリュー居酒屋”ガハハビールの挑戦
団地でゆるゆる飲みたい「ダンチエール」
団地の商店街を抜けて行くと、緑色の屋根とガハハビールの横断幕。外観からして居酒屋らしい。中に入ると、やっぱり居酒屋だ。カウンターの向こうで作業する馬場さんの雰囲気も居酒屋のおっちゃんである。 メニューも、もちろん居酒屋である。「本日のおすすめ」とクラフトビールのラインナップが違和感なく並んでいる。 居酒屋なのでアルコール類は日本酒、ジン、ウイスキーなどが揃う。フードメニューには、ポテサラ、コロッケ、よだれ鶏、カツオ竜田揚げから海鮮まで、ザ・居酒屋の手書きがまぶしい。ランチ営業もする。 長年、飲食店で仕事してきた馬場さんは、日本人のビールの飲み方には居酒屋がよく合っていると話す。 「外国の人だとビールだけ飲む。つまみはナッツとか簡単なものだけ、という飲み方が多いかもしれない。でも日本人は料理といっしょに楽しむ。酒もいろいろあって、次はどれ頼もうかとワイワイしながら飲む。それって居酒屋ですよね」 そんな馬場さんが造るガハハビールのイチ推しが「ダンチエール」だ。エクストラ・スペシャル・ビターと呼ばれるスタイルで、つまり特別ビターなペールエール。といっても、IPAのようにホップの香りや苦味が強いわけではなく、麦芽の味わいも楽しめ、色は赤みがかかって美しい。 「料理に合わせられ、何杯でも飲めるビールです」 ラガービールとはひと味違うふくよかな香り。泡が消えてもゆるゆる飲みつづけられるほがらかさ。焼き鳥にも焼き魚にも合ってしまう懐の深さを感じるビールだ。
スタートアップさん、いらっしゃい!
南砂住宅のある江東区には、近年タワマンが建ち並び、新しい住民が増えている。そのわりにはビアバーが少ないとあって、そうした新しい住民や仕事帰りのお客さんが増えているという。クラフトファンも当然やって来る。ガハハビールは江東区でいちばんはじめにオープンしたクラフトビールブルワリーなのだ。 南砂住宅は東京都住宅供給公社(JKK東京)が運営する団地で、1975年建築、8棟が建つ。リノベーションなどのメンテナスを施しながら、もうすぐ半世紀が経つ。都市部とはいえ、少子化や高齢化の影響は避けられない。特にコロナ禍以降、団地内で開かれるイベントは縮小傾向にあるという。 そんな団地で、ビールを造って売って8年目。すっかり1号棟の風景に溶け込んでいるガハハビール。馬場さんは賃料がアドバンテージになるとして、「スタートアップには向いていると思います」と話す。 実際、2年前にオープンしたハンバーガーショップには、時に行列ができるほど人気店に成長している。馬場さんはオリジナルビールを造って提供し、団地内コラボが実現している。ブルワリーのある団地は日本にいくつもない。ビール好きにはたまらない。 「うちの存在が出店や入居の後押しになってくれたらうれしいです」。