新型ホンダ・フリードの進化は乗れば納得だった! ちょうどいいサイズ感を守り抜いた最新ミニバンに迫る!
フルモデルチェンジした新しいホンダ「フリード」のプロトタイプに、今尾直樹が試乗した。新型ならではの美点とは。 【写真を見る】新型フリードの細部を徹底チェック!!!(27枚)
旧型も結構イイぞ!
ホンダの新型フリードの事前試乗会が開かれたのは6月初めのこと。場所はトラムの走る街、栃木県宇都宮市郊外にある本田技術研究所四輪R&Dセンターの「栃木プルービンググラウンド」である。 用意された試乗車は、現行型、いまとなっては旧型のフリード・ハイブリッドと、新たに“エア”と命名された標準ボディのハイブリッド、そしてクロスオーバー風デザインのクロスターの1.5リッター・ガソリン、の3台。 GQ枠ではこの順番で、オーバルの高速周回路と、アップダウンのある短いハンドリング路を3周ずつ、助手席にエンジニア氏を乗せて走行した。あいにくの雨模様で高速周回路の最高速は120km/hに制限されていた。オーバルの内側のコースは乗り心地のテスト用に凸凹路面も設けられている。 短時間で次々に乗り換えるテストの場合、人間というのはおのずと前に乗ったクルマと比較する。当然に最初に乗ったクルマが基準になる。少々驚いたのは、その最初の試乗車、01008kmと距離計が刻んだ旧型フリード・ハイブリッドGの広報車になんの不満も抱かなかった……どころか、「けっこういいかもしれない」と、思った点だ。2016年の発売以来、すでに8年が経っているというのに。いや、だからこそ熟成している。 最高出力110ps/6000rpm、最大トルク134Nm/5000rpmを発揮する1496cc直4DOHCは、29.5psと160Nmのモーターのアシストを得て、アトキンソン・サイクルとしては快音を発して気持ちよくまわる。動力性能も、車重1400kgほどのミニバンとしては十分。荒れた路面でも乗り心地はフワフワではなくて、しっかりしている。高速安定性にも優れ、ハンドリングだって悪くない。2008年の初代フリードの時代からホンダがこだわり続けている低床・低重心プラットフォームの賜物だろう。旋回しながら、うねった路面を通過する際のおさまりも上々だし、車両価格269万9400円の3列シートのコンパクト・ミニバンとして、商品力をちゃんとキープしている。と、そう思った。 実はこの日、栃木プルービンググラウンドまで、筆者の自宅から135km/hの道のりを10年落ちのホンダ「N-ONE」でやって来ていた。ということは差し引く必要があるにしても。身体は正直ですから。