政治はマイノリティに光を当てるべき...泉房穂が「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」受賞で語った思い
泉房穂「マイノリティにこそしっかり光を当てていくべき」
――『社会の変え方』は政治不信を払拭されるような作品だったと感じております。出版された背景について教えていただけますでしょうか? 【泉】私自身は子供の頃からふるさと明石を優しいまちにしたいと思って50年生きてきた人間です。集大成として、明石市長12年の卒業論文のつもりでの出版になります。 ふるさと明石を誰よりも憎み、誰よりも愛したものとして、本を出すのであれば地元の明石の出版社からと、ライツ社からお声をいただき出版に至ったので嬉しいですね。諦めを希望に変える本ですから、幅広い方に読んでほしいと思います。 ――まず子育て世帯に対する政策から注力されたと伺っておりますが、子育て支援の政策を初めにすることによってどのような影響があるでしょうか。 【泉】子供は未来そのものですから、子供を応援することはちっちゃい子の応援のみならず、その家庭の応援のみならず、子供を応援して町が元気になると、町全体に勢いがつき、経済が活性化して、全体がハッピーになる。子供を応援することは私たちみんなの未来を応援すること。それは明らかです。他の国はみんなやってるんですよ。日本だけが子供に対するお金も、人も、他の国の半分で異常なんです。 明石市長としてしたことは珍しいことじゃなくて、当たり前の施策を当たり前にやった。だから実現できたんです。私は市長でしたけど、明石の市民が一緒になって町を作っていった。市長が町を作ったんじゃなくて、明石の市民が明石の町を作りたいと。その歴史でもあると思います。 ――本の中の「私達はどこかの面ではマイノリティですし、何らかのマイノリティを救い上げるとマジョリティになる」という言葉が非常に印象に残りました。泉前市長にとってのマイノリティに対する思いをお聞かせいただけますか。 【泉】人は誰だって顔が違うんですから、人は全てマイノリティの面を持っていて、両面あると思うんですね。多数派の側面と、少数派の側面があって、多数派にばっかり光を当てると、どんどん意見が漏れていってみんな嫌になっちゃうんだけど、少数派に光を当てていくとみんなが救われていくわけですから。政治なんてのは少数者というか、マイノリティにこそしっかり光を当てていくべきだという考えがあります。 もう一つは、そのときはマイノリティと言われますけど、少数が多数に置き換わっていく、それがまさに政治の歴史だと思ってます。そういう意味では明石発で少数者の政治が多数になっていく途中だと思います。 【泉房穂】 前明石市長。1963年生まれ。東京大学教育学部卒業後、日本放送協会、テレビ朝日、石井紘基衆議院議員の秘書、弁護士を経て、2003年に衆議院議員となり、2011年から2023年まで兵庫県の明石市長を務める。明石市長就任の経緯から12年間の任期での活動をまとめた著書『社会の変え方』(ライツ社)がビジネス書グランプリ2024にて政治・経済部門賞を受賞。