後悔しない選択、より良い未来を選ぶための「メンタル・タイムトラベル」実践法
あなたは状況を素早く判断して、決断を下せる人でしょうか? あるいは、あらゆるメリットとデメリットを丹念に吟味してから選択する人でしょうか? どちらの場合であっても、あなたが持っている過去の記憶は、「未来の選択」においても大きな役割を果たしています。 これは必ずしも、過去の失敗から学んだり、トラウマになるような過去の体験が将来の展望に役立つということだけではありません。 むしろ、過去から未来の可能性を想像する能力のほうが重要なのです。 この脳の機能は、「メンタル・タイムトラベル(心的時間旅行)」とも呼ばれ、より良い決断を下すのに役立ちます。
メンタル・タイムトラベルとは?
「メンタル・タイムトラベル」という概念は、心理学や神経科学などの学問分野で、私たち人間が「人生の過去の出来事を思い出して再構成したり、さまざまな状況や出来事が将来どのように展開するかを視覚化したりする」能力を、説明するために使われています。 実際、2023年の研究で語られているように、過去の記憶を持つ主な目的は「未来の足場として過去の情報を提供することだ」と主張する学者たちもいます。 また、メンタル・タイムトラベルをサバイバルスキルとして説明し、「仮定的な将来の出来事について考え、計画する機会を与えてくれる」とする研究者たちもいます。
メンタル・タイムトラベルを学ぶエクササイズ
2015年に米ライフハッカーのインタビューシリーズ「How I Work」に参加したJane McGonigal博士は、2022年に上梓した自著『Imaginable: How to See the Future Coming and Feel Ready for Anything─Even Things That Seem Impossible Today』 で、意思決定プロセスの一環としてメンタル・タイムトラベルを使う方法を説明しています。 同氏は未来学者であり研究者、作家、代替現実ゲームのデザイナーでもあります。 簡単に言うと、「未来思考」や「エピソード的未来思考」とも呼ばれるメンタル・タイムトラベルは、現実逃避や白昼夢の一形態ではなく、「現在の自分と、将来、本当に感じたり行動したりするかもしれないことを結びつける方法」だとMcGonigal博士は書いています。 それこそが意思決定におけるメンタル・タイムトラベルの役割です。 McGonigal博士によると、メンタル・タイムトラベルは精神的な準備に役立ち、新たな挑戦が起こったときに素早く適応できるようになります。 ここでは、McGonigal博士が『Imaginable』に収録したエクササイズをご紹介します。 詳しくはこちらをチェックしてみてください。 レベル1明日の朝、目覚めるときのことを30秒間想像し、目に映るものを心の中で描写し、以下の質問に答えてください。 どんな部屋、どんな空間にいますか? どうやって目覚めますか。アラーム、朝の陽の光、それとも、誰かに身体をゆすられたり呼ばれたりしてでしょうか? 外は明るいですか、それともまだ暗いですか? 誰か一緒にいますか? 何を着ていますか? どんな気分ですか? 目が覚めて最初にすることは何ですか? 質問に対する答えを、明確にイメージできるようになるまで続けることが大切です。 レベル2今から1年後に目覚めた自分を30秒間想像してください。もう一度、目に映るものを思い浮かべ、以下の質問に答えてください。 何が変わりましたか? 場所は変わりましたか? 身体に変化はありますか? どんな気分ですか? いつもと違う朝の習慣はありますか? 新しい習慣がある場合は、どのような習慣でしょうか? 前回同様、すべての質問に答え終わるまで続けてください。 レベル3これで最後です。10年後の未来に目覚めることを思い浮かべてください。 どこにいますか? 周りには何がありますか? 何が見え、何が聞こえ、どんな匂いがして、どんな気分でしょうか? 目が覚めたら、まず何を考えますか? その日はどんな予定でしょうか? 身体的な変化はありますか? 現実的に考えて下さい。空想にふけったり、夢の人生を現実にしようとしたりする場合ではありません。 想像力を駆使して、何にもとらわれない立場で、今までの人生から未来の展開をいろいろと思い描いてください。