「はだしのゲン」閲覧制限、論点は何?/賛否両論まとめ
「ゲン」の特別扱いは
賛否とは別の意見もあります。ジャーナリストの藤代裕之さんは、閲覧制限への反対論が「世界的な名作」「平和教育に有用」といった「ゲン」が重要な作品であることを軸にしていることを指摘。「評価に関わらずある作品を特別扱いすることのほうが問題ではないでしょうか」と疑問を投げかけ、賛否どちらにしても特別扱いするのはよくないと論じています。 その根拠として藤代さんは、日本図書館協会の「図書館の自由に関する宣言」から、国民の知る自由を保障するため「図書館は、正当な理由がないかぎり、ある種の資料を特別扱いしたり、資料の内容に手を加えたり、書架から撤去したり、廃棄したりはしない」という言葉を引用しています。 当の日本図書館協会は、「自主的な読書活動」を尊重する観点から、閲覧制限の撤廃を求める要望書を松江市教委に送りました。アメリカの図書館協会が年齢による利用制限を「目立たない形の検閲」としているのを引用して市教委を批判したそうです。 なお、ヤフーの意識調査<「はだしのゲン」の閲覧制限は妥当?>によると、約14万票のうち83%が「制限すべきでない」との回答です(8月23日現在)。