兼好法師の哲学に触れる温泉宿 南紀白浜「くろしお想」で、美しさの本質を見つめるひとときを
CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつしか珍しくない光景となりました。 【画像】ベッドの向こうに南紀白浜の絶景が広がる部屋 好評発売中の「CREA」2024年秋号では、コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集しています。
心が動く瞬間を見つめ直す
●くろしお想[和歌山/白浜温泉] 三大随筆の一つ『徒然草』に、こんな一節がある。「花は盛りに、月は隈無きをのみ見る物かは。雨に向ひて月を恋ひ、垂れ籠めて春の行方知らぬも、なほ、あはれに情け深し」。 この「桜は満開、月は満月だけが価値のあるものだろうか、花や月に憧れる気持ちこそが趣深いのだ」という兼好法師の哲学を汲み取り、コンセプトにした宿が南紀白浜の丘の上にある。 古くからあった保養所を、地元の紀州材などをふんだんに使って再生。 地域に綿々と受け継がれてきた文化と、建物が刻んできた歴史が伝わってくる空間からは、有機的な営みが感じられるだろう。 エントランス、ロビー、客室、温泉。宿のどこにいても、心が満たされていくのだ。 大きな窓から見える海、山、そしてそこから差し込む光や影からは、兼好法師が説く、本質的な日常の美しさに触れられるはず。
千年以上の歴史を持つ白浜温泉の湯と料理を味わう
土地の歴史を紐解きながら生み出された日本料理を味わい、千年以上の歴史を持つ白浜温泉の湯に癒されたあとは、徒然なるままに、心と向き合い言葉を紡ぐ時間を過ごすのはどうだろうか。 インスピレーションが生まれる「余白」のある空間で、自分らしい過ごし方を見つめ直すのもいい。朝昼夜と、表情を変えていく景観の美しさに身を委ね、マインドフルな時を過ごすのもいいだろう。 「食事と温泉で癒された」だけでは決して終わらない、独創的な滞在をここ「くろしお想」で。 くろしお想 所在地 和歌山県西牟婁郡白浜町1155 電話番号 0739-42-3555 ひとり料金 1泊2食付き41,800円~ ひとり対応 通年可 客室数 11室 食事 夕 食事処/朝 食事処 アクセス 熊野白浜リゾート空港、またはJR白浜駅よりタクシーで約10分 「めぐる旅」と「こもる旅」をテーマに47都道府県のひとりにいい温泉宿68軒、旅の目的地になるサウナと蒸し湯10軒など、最旬の温泉スポットを特集した「楽しいひとり温泉。」は、「CREA」2024年秋号でお読みいただけます。
高田真莉絵