「また再配達」「宅配ボックスが埋まっている」……“再配達問題“解消の鍵は管理会社の「マンション内配送サービス」!
働き方改革による2024年問題が指摘されているが、宅配業界では輸送能力が不足してモノが運べないリスクが顕在化している。そんななか、マンションの"再配達ゼロ"を目指し、管理会社(大和ライフネクスト)と宅配会社(日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便)が「マンション内配送サービス」の実証実験を開始した。どんなメリットがあるのだろうか?詳しく見ていこう。 【今週の住活トピック】 管理会社と宅配会社が「マンション内配送サービス」の実証実験を開始/大和ライフネクスト
物流業界のラストワンマイル問題とは?
物流業界のラストワンマイルとは、消費者が商品を手にするまでの最後の配送区間、最寄りの配送センターから個人宅までの区間を指す。EC(電子商取引)利用が拡大して宅配の荷物が増える半面、働き方改革による配送現場の人手不足が深刻で、ラストワンマイルで商品が滞るリスクが生じているのだ。 特にタワーマンションでは、エントランス、エレベーター、配達階など何度もセキュリティロックを解除する必要があったり、配達用のエレベーターが指定されてエレベーター待ちに時間がかかったり、低層・中層・高層階ごとにエレベーターを乗り換える必要があったりなどで、想定外の時間がかかる場合も多いと言われている。 加えて、不在による宅配便の再配達が多くなっていることも問題となっている。配達時には、効率の良いルートを組んで配送するが、ルートが完了した後で再配達を行うなど、ドライバーの走行距離や労働時間が増加し、非効率な配送が常態化する事態となっている。 国土交通省では、2024年4月のサンプル調査で約10.4%が再配達になっていたことから、再配達により二酸化炭素(CO2)排出量の増加(年間約25.4万トンの排出量相当)や労働生産性の低下(年間約6万人のドライバーの労働力相当)による社会的損失が大きいと問題視している。 そのため、国土交通省は消費者に対して、時間帯指定の活用やコンビニ受け取り・置き配など多様な受け取り方法の活用などを推奨している。また、ECサイトでの「送料無料」の取り扱いについても課題を指摘している。送料無料の場合でも、配送については実際にコストが発生しているからだ。 さらに、マンションについては、管理規約で共用廊下に物を置くことを禁止していたり、エントランス等のセキュリティロックで届け先が不在の場合に入退館できないことなどの問題もあることから、管理規約で置き配を認めるルールを定めたり、不在時でも入退館できるセキュリティ対策を提示したりなどにより、再配達の減少に努めている。