『笑うマトリョーシカ』Pが語る最終回の見どころ「道上と清家の長い対峙シーンは圧巻!」
いよいよ明日最終回を迎える金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(TBS系/毎週金曜22時)。早見和真の同名小説を原作に、主人公のジャーナリスト・道上香苗(水川あさみ)が、人気政治家・清家一郎(櫻井翔)を取り巻く黒い闇を追うヒューマン政治サスペンス。清家を裏で操る“ハヌッセン”の正体が浩子(高岡早紀)ではなかったこと、そしてBG株事件には、現首相・羽生(大鷹明良)までもが関与していたことが明らかとなった前回。続く最終回では、清家からの突然の提案を受け入れた道上がなんと、清家の“ブレーン”に就任することに。そしてついに明かされる“ハヌッセン”の正体とは…。注目の最終回を前に、本作の橋本芙美プロデューサーに、キャストとの撮影エピソードや最終回の注目ポイント、本作に込めた思いを聞いた。 【写真】「会見の場に佇む櫻井さんはまさに『清家一郎』だなと」(橋本P) ――これまでの撮影を経て、主人公・道上を演じる水川さんの印象を改めて教えてください。 橋本:水川さん演じる道上は視聴者と一緒に謎を追っていく立場なので、説明セリフがとても多いのですが、それをいかにナチュラルに伝えるか、その表現の仕方が本当に素晴らしいと感じています。作劇上、本当はハヌッセンではない人をハヌッセンのように見せたりもしていましたが、演者側はそのミスリードを理解した上で演じなくてはいけないので、疑う側も疑われる側もその点がすごく難しかったのではないかと。 そんな中、水川さんは座長として常に現場の中心で盛り上げてくださいますし、先日はスタッフ&キャストにTシャツを作ってくれたりもして。さらに現場が一丸となりましたね。 最終回の道上は、今まで以上にかっこいいです!色々苦悩する姿も描かれますが、最終的に道上がどんな選択をして、どんな言葉を投げかけていくのか、最後まで見届けていただけたらと思います。 ――鈴木役の玉山さんについてはいかがでしょう。 橋本:玉山さんは、現場で水川さんやスタッフから“タマッセン”と呼ばれてうれしそうに笑っていたり(笑)、意外とお茶目なんです。鈴木は、悪者かと思ったら実はハヌッセンに狙われていたり、清家との絆が一番強い人かと思いきや突然切り捨てられたりという、視聴者からの見え方が初回からすごく変化した役。切られた後、鈴木が復活していく7話は特に、玉山さんといろいろな話をしました。改めて衣裳合わせをしたり、鈴木の気持ちを復活までどう持っていくか、ご本人からもご意見を頂いて作っていきました。その結果、清家や浩子の呪縛から解放されて、再び前を向いて道上と一緒に事件を探っていく鈴木にも、視聴者の皆さまが感情移入できる形になれたのではないかなと思います。 また最終回では、秘書をやめた鈴木が、今後の人生でどういう選択をするのかという点にもぜひ、注目していただけたらと思います。鈴木のラストシーンは、撮影現場で見ていて思わずうるっときました(笑)。視聴者の皆さまにも見届けていただけたら嬉しいです。 ――清家役の櫻井さんについてはいかがでしょうか。 橋本:清家は政策の説明や会見で話すシーンが多いので、セリフの量もかなり多いんですよね。清家は難しい役どころだったと思いますが、演じる上で佇まいから喋り方、表情の一つ一つまで、ものすごく緻密に作り上げてくださったと思います。会見の場に佇む櫻井さんはまさに「清家一郎」だなと。櫻井さんのレギュラー番組のスタッフさんもドラマを見てくださっているそうで、「政治家役が似合う」とすごく言われているらしいです。 ――6話のラスト、清家が鈴木を切り捨てるシーンは、櫻井さんが表現する清家の冷徹さ、そして鈴木が絶望する姿が視聴者に大きなインパクトを与えたかと思います。 橋本:あのシーンは中盤の見せ場だったので、演じる側も相当プレッシャーを感じていたと思います。清家側からでいうと、何が清家の“本心”の言葉で、何が浩子に“言わされている”言葉なのか分からない不気味さと、鈴木を切ることの辛さがひしひしと伝わる表現が入り混じる、いろんな意味を持つシーンだったので。鈴木が一生懸命清家に語りかけようとするのに、全く聞く耳を持たずにセリフをかぶせる清家のタイミングなど、監督、玉山さん、櫻井さんでディスカッションして作り上げていきました。色々な感情、要素が絡み合う難しいシーンでもありましたが、玉山さんと櫻井さんが見事に演じきってくださり、このドラマにおける名シーンの一つになりました。何度でも繰り返し見たくなります(笑)。 ――ここまでの作品作りで大変だったこと、苦労された部分はどんなところですか。 橋本:脚本作りにおいては、原作にある回想シーンをドラマのどのタイミングで入れるかに一番苦労しました。BG株事件などドラマ独自の要素を足した分、原作の本線と辻褄が合っているかを考えながら組み立てるのがすごく難しくて。 あとはハヌッセンが誰なのかをどう見せていくかという点。鈴木から美和子、美和子から浩子へ疑惑が移行していくところは、映像だからこそより怪しく見せられる部分で、そこが面白くもあり苦労した部分です。早見先生にも毎回原稿をお送りし、気になるところがないかを都度ご確認いただきました。 清家が“首相公選制”という国民が直接投票で首相を選べる制度を導入しようとするところも原作にはなく、事前にご相談した上で取り入れさせていただいた要素。あれは政治監修の方のアイデアで。清家が最終的に権力を握っていく様子をより恐ろしく感じさせるためにどのような政策を打ち出すべきか相談した際、独裁的になる危険性をはらんだ政策として、この制度を教えていただいたんです。調べたところ、過去に何度か実際に議論されたことがあり、たとえば平成14年の懇談会の資料を読んだりしました。これは、ドラマにおいても説明しやすいかつイメージしやすく、いいのではないかと。それで早見先生に、後半でそういう政策を打ち出してもいいかをご相談し、ご了承いただきました。 ――清家たちの地元を愛媛にしたことも、原作をリスペクトしてのことでしょうか。 橋本:そうですね、愛媛県、特に外泊(そとどまり)での撮影は映像化の条件でもありました。炎天下での撮影でしたが、早見先生も現場まで来てくださって、みんなでたくさん写真を撮りました(笑)。 地元・愛媛のフィルムコミッションの方が、蛇口からポンジュースが出る重いタンクをわざわざ石垣を登って運んできてくださり、キャストスタッフみんなで美味しく飲みました。地元の方々がお昼にそうめんを作ってくれたりもして。景色も美しい場所でしたが、地元の方々のあたたかいご協力にも心が癒されました。感謝です!!