「政治とカネ」「派閥問題」議員票、政治資金…派閥のメリットは? そもそも政治に派閥は必要? 専門家が解説
◆そもそも政治における「派閥」とは?
吉田:そもそも政治の世界で“派閥”とは、どういった存在でしょうか? 塚越:派閥は、明確に「このリーダーの下で活動する」と明言して、他の派閥のリーダーを推すことがないのが特徴です。信頼している人や議員になるときにお世話になった人の派閥に入ることもあるほか、世襲議員の場合は親の人間関係のなかで決まったりもします。そういう意味では、「政策集団」かもしれませんが、やはり人間関係で動いていると思います。 ユージ:派閥のメリットは何かありますか? 塚越:派閥のメリットと役割は主に「4つ」あるといわれています。個人的には全て「カネや人間関係からくるメリット」だと思います。 まず1つ目は、国政選挙ではなく党の「総裁選挙」を左右する「議員票」です。自民党の総裁は、ほとんどの期間で日本の総理大臣になっているので、派閥のリーダーを総理大臣にするための票が重要になります。 とはいえ、1つの派閥では過半数を取れない場合は、他派閥からの支援をしてもらうこともあるので、派閥といっても実際は「自分のリーダーを総理に」という単純なものではありません。 2つ目は「国政選挙」です。派閥の先輩議員が選挙の応援演説に来てくれたり、仲間同士で助けあったりするということ。 3つめは「政治資金」、要するに「カネ」です。政党だけでなく、選挙の際は派閥からもお金が出ます。最近は減ってきたとのことですが、季節ごとの資金もあったりします。 4つ目は「大臣ポストの配分」です。例えば岸田内閣でも、各派閥にポストを渡して、派閥から人を推薦させていました。特定の政策能力のある人を大臣にすることもありますが、結局は派閥という人間関係のなかで大臣ポストが配分されることもしばしばあります。 こうやって見ていくと、政治家個人の能力というより、人間関係にかなり依拠しているな、と私は思います。
◆リクルート事件以降、“うやむやのまま”残った派閥
ユージ:塚越さんは、政治に派閥は必要だと思いますか? 塚越:どうなのかなと思います。もともと1988年の「リクルート事件」があってから、「平成の政治改革」というものがありました。細かい点は省きますが、それまで派閥争いでお金がかかり、各政党が政治資金集めをしなくても済むよう、年間300億円の「政党助成金」制度を使い、将来的に企業や団体の献金を禁止する予定で進んでいました。 つまり、派閥はこれで存在意義の大部分を失うはずだったのに、結局うやむやのまま今まで残っており、政党助成金の300億円は残っているということで、30年経っても変わっていないどころか、さらにお金が入っている状態になります。 今に始まったことではなく、平成初期にやろうとしていたことができていない。「今、行動してくれ」と、怒りが出ています。これに対し、第三者機関も入ってどんどん変えていくということで、逆にそれをしていかないと、自民党としても続かないと思います。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年1月11日(木)放送より)