世界大会に行こう! エスペラント博物館への誘い。/執筆:南波文晴(NPO法人エスペラントよこはま 理事)
エスペラントについて紹介していると、ときどき「話せる人が身近にいないのに、エスペラント語を覚えてもどこで使うの?」という質問を受けることがあります。 NPO法人エスペラントよこはま理事 南波文晴さんの1ヶ月限定寄稿コラム『TOWN TALK』を読む。 確かに、英語などに比べれば、残念ながらエスペラント人口は極めて少ないですし、どこでも通じるというわけにはいきません。しかし、総数は少ないながらもエスペランティストは世界各地に存在します。お互いの親交も深く、世界規模のエスペラントコミュニティが長年にわたって作られてきました。 エスペランティストが各地から集まるイベントや勉強会は大小各種開催されています。一番大きなイベントは世界エスペラント大会(Universala Kongreso de Esperanto)。毎年7・8月に8日間の日程で開催され、世界各地のエスペランティストが共に学び、楽しみ、親睦を深める行事です。開催地は毎年異なり、今年(2024年)はタンザニアの高原都市アルーシャで開催されました。 大会での言語はもちろんみんなエスペラント語。大会の申込書(最近は申込ウェブページ)も、会場受付での各種手続きも、そこで配られる案内書や記念品も、会場内の「トイレ」(Necesejo, ネツェセーヨ)の張り紙に至るまで、何もかもエスペラント語です。大会の期間中には、まじめなセミナーや学力試験から、エスペランティストによるコンサートや演劇、晩餐会や舞踏会、各種観光ツアーなど、エスペラント語で行われる行事が盛り沢山です。 「世界大会に行くなんて、エスペラント語が本当に上手な人だけですか?」いいえ、そんなことはありません。これは大会といっても「コンクール」ではなく「コングレス」(国際会議の類)の方です。語学力を競うのが主目的ではありませんので、学習を始めて数か月の初心者も数多く参加しています。そして、エスペラント界の文化の美点として、熟練者の皆さんも、頑張って話そうとする初心者にとても親切です。 来年(2025年)の世界大会はチェコのブルノで7月に開催予定です。今からエスペラント語の学習を始めれば、来年7月までに大会参加に十分な力が身に着くでしょう。「ただの海外旅行ではなく、さまざまな外国人と語らい、友達を増やし、珍しい体験ができる海外旅行をしたいです」という方は、世界大会を目指してエスペラント語に挑んでみてはいかがでしょうか?
プロフィール
南波文晴 なんば・ふみはる|「NPO法人エスペラントよこはま」理事。横浜を拠点とし、中立な国際語「エスペラント」の活用・普及、学習支援につとめる。2021年に設立された『エスペラント博物館よこはま』では、エスペラントによる国際交流や、エスペラント文化の蓄積としての図書・雑誌等様々な資料が所蔵されている。 text: Fumiharu Namba, edit: Ryoma Uchida
POPEYE Web