角田裕毅、予選7位→決勝10位でも冷静 淡々と仕事をこなしてポイントを持ち帰る姿はベテランの風格
今季最高の予選7位──。 ほんの少し前なら大喜びしていたこの結果にも、角田裕毅(RB)の表情には喜びがあふれるどころか、不満だけがにじんでいた。 【写真】イモラの悲劇から30年…アイルトン・セナ名場面フォトギャラリー! 「今シーズン最高でしたっけ? Q3でアタックをまとめきれなかったのは少し残念ですけど、そこまでのアタックはよかったですし、クルマ自体に速さがなければあれだけのアタックはできませんでしたから、チームに感謝しています」 Q2は好アタックを決めて3位で通過した。もちろん中古タイヤでアタックしたドライバーもいれば、路面の改善が進むなかで隊列の最後方でアタックしたという利点もあったから、Q3でもこのままの順位で行けるとは思っていなかった。 しかし、Q2のアタックを1回に抑えてまで2セットの新品ソフトタイヤを温存したにもかかわらず、Q3で完璧なアタックを決められなかったことに、角田は不満だった。 だが、このイモラ(第7戦エミリア・ロマーニャGP)での好パフォーマンスに、角田は浮かれてはいなかった。金曜フリー走行での決勝想定ロングランで苦しい走りを強いられたからだ。 「現実的に言えば、レースペースは予選ほどいいとは思っていないので、FP2のロングランでも自分がまとめきれない部分もありました。決勝に向けてはそこを改善して、最大限まとめ上げていきたいと思っています。 メルセデスAMGよりも前でレースを終えられれば最高かなと思っていますけど、簡単な相手ではないです。とにかく確実に、少しでも多くポイントを獲ることを目標にレースをしていきたいと思っています」 前戦のマイアミGPのようにメルセデスAMGを喰うことを意識して背伸びするのではなく、現実的に自分たちが目指すべき目標を見据え、そのためにやるべきことに集中する。悔しさを押し殺し、気持ちを切り替えて、地に足の着いたベテランのようなたたずまいさえ漂っていた。
【今季のRBはスタートが弱点】 コース幅が狭くオーバーテイクが難しいイモラでは、スタートが極めて重要になる。誰もが1ストップ作戦を採るだけに、逆転のチャンスも少ない。 その大事なスタートで、RB勢は2台揃って発進加速が鈍く、ポジションを落としてしまった。 「間違いなく今日のレースは、スタートでポジションを落としたことでかなり妥協を強いられてしまいましたし、普通にスタートできて(7位のポジションを維持できて)いればもっと楽な展開になったと思います。完璧なレースができていれば、もう少し上の順位でフィニッシュできたかもしれなかった。なので、スタートの改善が必要ですね」 第4戦・日本GPでもそうだったように、RBはスタートが弱点だ。うまくいくときもあれば、そうでないときもあり、安定性が乏しい。 チームとしては改善のための試行錯誤を続けており、今回もグリッドにつく直前だけでなく、フォーメーションラップの途中でも複数回に分けてバーンアウト(わざとタイヤを空転させるテクニック)をやり、リアタイヤを芯から温めるトライをしていた。 それでもクラッチミートの瞬間の蹴り出しはやや弱く、その後の半クラッチからフルエンゲージのフェイズではつながりすぎてホイールスピンが発生するなど、タイヤグリップの読みとクラッチのセッティングを外していた。 ビークルエンジニアリング責任者のジョナサン・エドルスはこう説明する。 「スタートは、いいときもあればよくないときもあり、コンシステンシー(一貫性)が足りていない点をインプルーブ(改善)する必要がある。いいスタートを決めることはできるが、それを毎回決めることができていない。 新しいパーツが関係することや、マシンの根本的な部分に対する理解が関係することなら、改善には長い時間を要することになる。だがこれは、クラッチのマッピングやタイヤを準備する手順に対する理解の問題だから、そうではないと思う。複数の部門、複数の人間が関わる課題だから、解決策を見つけ出すのは簡単ではないんだ」
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