印象派絵画のような映像で綴る人生讃歌、映画『エタニティ 永遠の花たちへ』
舞台は19世紀のフランス。四季折々の花々と木々に囲まれた美しい邸宅から物語は始まる。ここで描かれる結婚や家族観、そして人生観は、現在のそれとは違っているようでいて、じつは変わっていないのかもしれない。 『青いパパイヤの香り』『夏至』のベトナム出身のトラン・アン・ユン監督が、6年の歳月をかけて撮影に臨んだという映画『エタニティ 永遠の花たちへ』が9月29日から公開される。 同作についてユン監督は「僕はただ、人の死と誕生を通して、さらにお互いを抱きしめ合うことを通して、人生の永続性という感覚を観客さらにお互いを抱きしめ合うことを通して、人生の永続性という感覚を観客に与えることに専念した」と説明する。
フランスを代表する3大女優たちの夢のような競演
そして、フランスを代表する3大女優たちの夢のような競演が話題となっている。全世界で大ヒットした『アメリ』(2001)のオドレイ・トトゥ、そしてクエンティン・タランティーノ監督の戦争映画『イングロリアス・バスターズ』(2009)や感動作『オーケストラ!』(2009)などで多彩な役を演じ分けたメラニー・ロラン、『アーティスト』(2011)でアカデミー賞とゴールデン・グローブ賞にノミネートされたベレニス・ベジョ。この3人の女性を生き方を中心に、物語は展開していく。
美しい庭園に囲まれた邸宅からはじまる物語
一度は破棄された婚約をあきらめきれないジュールに心を動かされたヴァランティーヌ(トトゥ)は、彼との結婚を決める。最初に存在した小さな木の芽ほどの愛は、時とともに育まれ大きな木となり実を結ぶ。愛する子供たちと優しい夫に囲まれて幸せなときを過ごす。しかし、家族の分だけ喜びがある一方、悲しみからは逃れられない。戦争や病で子を失い、やがて夫にも先立たれる。 そして、ヴァランティーヌの息子・アンリは幼なじみのマチルド(ロラン)と結婚を機に、また新しい光が降り注ぐ。一方、マチルドの親友・ガブリエル(ベジョ)は複雑な想いを抱きつつ、親の決めた結婚相手と家庭を築く。 新しい家族を迎える歓びと逝く人を見送る悲しみは永遠=エタニティに繰り返される。一滴のしずくが集まって大河をつくるように、次の世代、そのまた次の世代へとつながっていく。