台湾野球代表が悲願の「プレミア12」制覇も…歓喜に沸くファンの間で「謝罪書」が飛び交った理由とは
「メディアに流されました」
「謝罪書ジェネレーター」で制作できる文書には「(選手名)謝罪書」と大書され、選手の写真と謝罪者の名前、日付、謝罪理由、謝罪者が保証する事柄が並ぶ。ベースとなったのは以前にネット上で出回ったファンの謝罪文だ。 デフォルトで表示される謝罪理由は「メディアに流されました」「実際の試合を見ていません」「野球がよくわかりません」「彼が金を稼いでいることに嫉妬しました」といった内容だが、自作も可能。「私はニワカでした」というものもよく見受けられる。また、保証する項目も「今後の大活躍」など内容は自由だ。 野球と無関係のYouTuberらも謝罪書を作成したことで、一躍大ブームとなった。プレミア12では、初戦の韓国戦に勝利してから“謝罪書の提出”が増え始め、優勝が決まると“駆け込み提出”が急増。17日には潘傑楷選手の元にも謝罪書が届いているが、これは16日の日本戦で活躍できなかった潘選手自身の謝罪書という形だった。
蒋介石のひ孫・台北市長は「炎上」
台湾メディアの解説によれば、こうした謝罪書は「深いお辞儀であり、再び支援するという約束」でもあり、「少し回りくどいところはあるものの、その裏にはたっぷりの支援と愛情が込められている」という。 そんな台湾独特のブームだが、残念なことに炎上した人もいる。台北市長で蒋介石のひ孫にあたる蒋万安氏は、決勝のライブビューイング会場に「日本代表チームへの謝罪書」を持って出席。「謝罪は自虐を含んだ称賛の方法であって、相手チームを貶めるためのものではない」と猛反発を招いた。前述した潘選手の例など謝罪書スタイルは複数あるが、「自虐」という基本は外せない。また、タイミングとノリにも注意が必要ということだろう。 とはいえ、祝賀ムードに影響はない。25日、チーム一行が台湾へ戻った飛行機はF16戦闘機4機に出迎えられた。26日には台北市内で凱旋パレードが開催され、一行は頼清徳総統らと対面。大の野球ファンとして知られる頼総統はチームのジャージに身を包み、感無量の表情で選手たちと握手をかわしていた。 謝罪書ブームもこれにて一段落すると思われるが、台湾代表には国際大会の連覇という新たな目標も生まれている。選手とファンは今後も独自の交流を続けながら、台湾野球を育てていくことだろう。
デイリー新潮編集部
新潮社