「寿司といえば富山」は、なりえるのか! 富山県が挑む意欲的な地域ブランディングとは
その後、氷見に移動した一行は、17代続く網元の家・濵元家にて、天然の生け簀・富山湾で400年の歴史を持つ定置網漁の歴史についても理解を深める。 富山の地形的な優位性と、富山湾を慈しみながら生きる文化を肌で感じ、いよいよ寿司の実食へ。夕食に案内されたのは、氷見の寿司の名店「成希」。店主の滝本成希氏の握りで、富山の寿司を感じると思いきや、実は今回、東岩瀬に「Japanese Restaurant GEJO」を構える下條貴大氏も加わり、ふたりの富山の寿司職人が前後半で、それぞれの握りを楽しませてくれるコラボ寿司を供してくれた。
若手寿司職人ふたりによる、「地形の恵み」をテーマとした寿司のフルコース。富山の食材や地酒を使い、若きふたりが繰り出す、趣向を凝らした握りやつまみ。アイデアと持てる技術をフル回転させ富山食材でゲストをもてなすというスタイルに、寿司といえば富山も決して夢物語ではないと、プロジェクトの真意を体感することとなった。
白エビ漁の現場から異色の寿司コラボまで、充実の寿司文化を体験
2日目早朝は、富山湾の宝石と呼ばれる白エビ漁の見学に始まり、射水市に移動の後、「日本のベニス」と称される射水の川沿いの風景を眺めつつ朝食を。朝食にはオリジナルの創作白エビの寿司クレープが用意された。さらに食後の散策がてら川沿いを歩き、続くプログラムの地へ。
歩いて数分の「内川の家 奈呉」では、富山伝統のます寿しワークショップを体験。「丸龍庵」の木村圭さんと「射水市産業経済部農林水産課」課長補佐の山本和永さんより、ます寿しの歴史を学び、参加者が各々、ごはんをこね、鱒を乗せ、笹を巻き、伝統のます寿しを作り体験させてもらった。 海の上での白エビ漁見学から、寿司をテーマにした朝食クレープ、ます寿しワークショップと、2日目も寿司の可能性、富山の魅力を感じるプログラムが目白押し。ただ単に旨い寿司を食べるではなく、地形や食材、文化に、新たな可能性まで、寿司を再解釈する意味がようやく理解できてくる。