[ハリウッド・メディア通信] 玩具から映画へ LEGOとミュージシャンがコラボした画期的なドキュメンタリー アニメーション映画『Piece by Piece (原題)』
全米週末興行ランキングで公開6週目ながらトップ10にランクインする健闘をみせたのが、日本発信ハズブロ共同製作映画『トランスフォーマー/ONE』(2024年10月25日~10月27日)。その理由は『トイ・ストーリー4』の監督ジョシュ・クーリーが、玩具が作られた原点、最初のアニメーションに立ち返って息を吹き返らせた点にある。おもちゃから映画へという発想は昨年、アカデミー賞作品賞にノミネートされた実写映画『バービー』の成功からもわかるように、上り坂の傾向にある。先月、米国限定で公開された音楽伝記映画『Piece by Piece (原題)』は、ヒップホップの伝説的アーティスト、ファレル・ウィリアムスの天才的な偉業と作曲過程をピース・バイ・ピース、一つ一つ積み立てていくLEGOアニメ伝記ドキュメンタリー。この画期的なLEGO映画の誕生話をこのコラムでもいち早くご紹介。 ・・・ ファレル・ウィリアムスの音楽と映画 今夏大ヒットした『怪盗グルーのミニオン超変身』のサウンド・トラックほか、ミニオンファン、音楽ファンならば、第1作『怪盗グルーの月泥棒』から映画作曲家ハンス・ジマーやヘイター・ペレイラと並んで、ファレル・ウィリアムスの名前がクレジットされていることに気が付いていたかもしれない。 1990年代、アメリカ南部バージニア州の低所得者層エリアで育ったファレルが仲間と結成したのが音楽プロデュースグループ「ネプチューンズ」。画期的な音楽センスをもつファレルの楽曲はたちまちセレブの目にもとまり、数々のミュージシャンとコラボを開始。ジェイ・Z、ビヨンセ、スヌープ・ドッグ、グウェン・ステファニーなどとタッグを組み、聴けばすぐにわかるキャッチーなフレーズを次々に生み出してきた。その天才的な音楽センスは必然的に歌手としての活動に移行。ダフト・パンクとの「ゲット・ラッキー」、楽曲「ハッピー」など、だれでも踊りたくなるリズムとメロディはまたたく間に音楽ファンを魅了し、世界中にファレル旋風を巻き起こした。 ファレル・ウィリアムスのマルチな活動は留まることを知らず、日本人デザイナーのNIGOとアパレルデザインを共同プロデュースするだけでなく、2023年にはルイ・ヴィトンのメンズクリエイティブ・ディレクターにも就任。そんな多忙なファレルがなぜ今、自身の伝記映画を描きたいと思ったのか。それは彼自身がアーティストとして苦悩したときに奮い立たせた力の源を表現したかったからだそう。ロサンゼルスのプレミア上映会の席に、監督モーガン・ネヴィルと登場したファレル・ウィリアムスは、ピンクの帽子の下にシャイな素顔を隠しながら、そんな自伝映画をなぜLEGOアニメーションで描きたかったかを語っていた。