音楽を奏でるように。ワクワクが止まらない名レストランが誕生!
オーケストラといえば、いくつもの楽器の旋律を重ねて、壮大な楽曲を作るものだが、そのコース料理はまさに、その名に違わぬ、変化と厚みに富んだものと言えよう。
その指揮者となるのが、シェフの小川慎二氏だ。地元のホテルを振り出しに、中部イタリアのトラットリアでの素朴な郷土料理から星付リストランテのイノヴェーティブな料理まで充分に経験した。そして帰国後、都内のレストランや出張シェフを経てオルケストラのオープンにいたる。
といって、現地の味覚に寄った料理を供するわけではなく、その要素は一部だ。楽章ごとにテーマがあり、それを楽しませるスタイルといったところもまさにオーケストラなのだ。
出身地・長崎県五島列島の名産である“焼きあご”に、パルミジャーノ・レッジャーノや生ハム、干し貝柱や昆布などが旨みを支え、オリジナルのコンソメとして心を和ませてくれる。
次がアミューズだが、まずその什器に圧倒される。ピアノの鏡面仕上げを施した黒のボックスの蓋を開けると、黒鍵と白鍵が並び、その中にそれぞれ心を込めた前菜が並ぶ。
手前左から、「イワシのソットアチェート」、「南蛮エビとビーツのビネグレット」、「ブルーチーズとキャビアのブルスケッタ」といった具合に、どれも工夫に満ち、繊細な細工が施されている。続いて、前菜の「五島 林さん ハガツオ 白カブ キウイ 発酵プラム」「五島 林さん 真鯛 枝豆 蔓紫 アーモンド ミント」「トルテリーニ イン ブロード 赤平火をどり 焼きあご パルミジャーノ」が続く。大きく言えば、こちらが、第1楽章といえよう。
次がシェフがイタリアで身に付けたラヴィオリだ。
手打ち麺をのばすところから実演してくれるのが、なんとも楽しく、盛り上がる。