医師偏在是正、重点区域に医師派遣 厚労省が検討会に報告
厚生労働省は10日、医師の偏在是正をめぐり、へき地ではないものの人口動態などから医療機関の維持が困難な地域を指定し、優先的に対策を進める方針を固めた。都道府県が作る偏在是正プランに当該地域を盛り込み、中核的な病院から医師を派遣したりする。2026年度から実施に踏み切る構えだ。 同日の「新たな地域医療構想等に関する検討会」(座長=遠藤久夫学習院大学長)に示した報告書案に盛り込み、大筋で了承された。派遣される医師に手当を増額したり、派遣元の医療機関を支援したりする。 そうした経済的インセンティブに要する財源をどこに求めるかについては、保険者が拠出する案を示した一方、「保険給付と関連性の乏しい使途に保険料を充当することは著しく妥当性を欠く」と反対する意見も併記した。 診療所が過剰な地域での新たな開業希望者に対し、都道府県が要件を課すことができる案も盛り込んだ。在宅医療などその地域に足りない機能を担うよう都道府県が要請し、その要請に従わない場合は勧告や公表できるようにする。 こうした規制的手法の一つとして、要請に従わない場合に保険医療機関の指定をしないこと、指定を取り消すことも浮上。これに対しては、「憲法上の職業選択の自由に抵触する恐れがある」との反対意見も挙がった。 この検討会は同日が最終回になった。厚労省は年内に医師偏在是正の総合対策をまとめることにしている。それを踏まえ、25年の通常国会に関連法案を提出する予定だ。