関学大アメフット部“名物監督”鳥内氏がジョークと毒舌の異例退任会見「口だけの男にはなんなよ」
会見中、二人三脚で歩んできた小野ディレクターは「よく衝突しましたが、(鳥内監督の)凄いところはチームファーストの精神。その使命感と無私のところ。私がない」と話したのも印象的だった。 会見の途中からはなじみの担当記者を指名し、質問させるという異例の展開に。「どんな男になりたいか」の問いかけには「学生に問いかけた以上は恥ずかしくない行動をしないといけない。どんな人物になりたいかはないが、言うたことに責任を持ってほしい。口だけの男にはなんな」と話し、切磋琢磨してきた”ライバル”の立命大、京大には、「ライバルがいて成長できた。感謝しています」とリスペクトの念を示した。 また11年連続で学生代表が敗れちるライスボウルの存在意義については「社会人の発展のために始まったが、十分に貢献した。そろそろ違う方法もありかな」と提言。チームとしても日本学生アメリカンフットボール協会を通じて文書で「ライスボウル改革」を正式に提言する方針だという。さらに放送関係者には「もっと試合を放送してください」と要求し、質問者をたじたじにさせる場面もあった。 鳥内監督は、アメフットの魅力を「準備で勝ち負けの5割が決まる。みんなが参加でき、シミュレーション通りだと楽しい。コミュニケーション能力もつく」と表現した。 その準備を28年間、積み重ね、やればやるほどはまりこんでいく奥深いアメフットに人生を捧げてきたのである。 気になるのは今後。ワンフレーズで笑いをとる話術と、その発信力からコメンテーターでもやっていけそうだが、「しばらく休憩中。何も決まってません」とキッパリ。その一方でアメフットを盛り上げたい気持ちは強い。講演活動はもちろんのこと「現場の指導よりも、いろんな競技で指導方法を啓蒙したいと思っている。よその大学(の監督)はないでしょうが、まずは学生にはやりたいことをやらせてあげる。大人のエゴはダメ」と警鐘を鳴らし、今後、指導者の育成に尽力していきたい考えを明らかにした。 次期監督は、アシスタントヘッドコーチとして鳥内監督の右腕だった大村和輝氏の昇格が既定路線。ここ数年、実際の戦略、戦術などは大村氏が行っていた。鳥内監督も、今後のチーム作りに関しては「全部マネせんでええと思う。伝統の重みやハートの部分も含めて学生の人間的な成長を手伝うこと、そこは失ってほしくない。よそ向いている子もおるんで、まとめてほしい」と要望した。 監督選定については、関学大アメリカンフットボール部の内規があり、最終的には池埜聡部長が決定することになっているが、それらの学内手続きを経て22日にも正式発表される予定となっている。