関学大アメフット部“名物監督”鳥内氏がジョークと毒舌の異例退任会見「口だけの男にはなんなよ」
関西学院大学アメリカンフットボール部「ファイターズ」を28年間率い、12度の学生日本一に導いた名将、鳥内秀晃監督(61)が8日、兵庫県西宮市の同校で退任会見を開き「3分の2は関学で過ごした。人生みたいなもん」と密度の濃いファイターズ人生を振り返った。会見の途中からは顔なじみの記者を指名し、質問を逆に要求するという、鳥内監督の人柄を表すような展開となったが、アメリカンフットボールの魅力、指導者としてのポリシー、未来への提言などを約1時間に渡ってジョークと毒舌を交えて熱弁した。今後は、講演活動をしながら指導者育成のアドバイザー的な役割を果たしたい考え。また次期監督は、現在、アシスタントヘッドコーチである大村和輝氏の昇格が最有力。後任人事については、関学大アメリカンフットボール部の内規に従って正式決定され、22日にも発表される予定だ。
アメフットより人間教育
紺のブレザーで会見場に現れたアメフット界の名物監督は、顔を紅潮させ、どこかぎこちなく、照れくさそうだった。だが、どんなときもユーモアを忘れず、本音で勝負の鳥内監督に涙はなく、お約束の”笑い”と毒舌を織り交ぜながら退任会見を進めていった。 「いまは正直ホッとしている。いつもだとシーズンが終わった瞬間から次へ向け、どういう段取りで進めていくか考えなアカンから休んでいる暇がなかった。寂しい?いやいや、毎日やることはいっぱいあるんでね」 12月の甲子園ボウルで早大を破って、大学として通算30度目の学生日本一に輝き、1月3日のアメフット日本一を決めるライスボウルでは14対38で社会人Xリーグ王者の富士通に敗退したばかり。 例年だと来るべきシーズンに備え、4月から4年生となる最上級生と1対1の恒例の個人面談をスタートしている時期だという。1995年から始めた鳥内流のチームマネジメントで、まず一人一人に目標を文書で提出させ、「目標はどこやねん」「そのために何をすんねん」「チームのために何ができねん」と問いかける。 「アメリカンフットボールより人間教育」という信念の下、「1対1の約束」を結び、最後は、アメフットを離れ「どんな男になんねん」と選手の心に訴えるのが定番となっており、その様子はビデオや音声データで残す方式にしていた。 鳥内監督は、大阪府立摂津高校サッカー部出身で、全国高校サッカー選手権にも出場している。だが、浪人時代に、「涙の日生球場」として語り継がれる関学大対京大の名勝負を見て感動を覚え、父・昭人さん(享年80)が監督をしていた縁もあり、関学大入学とともにアメフット部へ入部した。ディフェンスバック、キッカーとして、4年生時は副将にもなり、守備のリーダーとして活躍した。だが、肝心の甲子園ボウルでは4年連続で日大に勝てず「後輩には同じ思いはさせたくない」との悔しさから指導者の道を選ぶ。