【使用済み核燃料問題】関電の県外搬出の工程表見直しに福井県知事「昨年の合意なくなった」 六ケ所村の再処理工場延期影響
福井県内の原発にたまる使用済み核燃料の最終的な搬出先となる青森県六ケ所村の再処理工場の完成目標が2年半延期となったことを受け、関西電力の水田仁副社長(原子力事業本部長)が8月30日、使用済み核燃料の福井県外搬出に向け策定したロードマップ(工程表)を見直すことを福井県に説明し陳謝した。杉本達治知事は報道陣の取材に「大変遺憾。昨年10月の工程表の合意はなくなった」と厳しい見方を示した。 杉本知事は、関電の工程表見直しに対して「不退転の覚悟を示してもらう必要がある。実効性のある工程表を示すために、どのような担保が必要かを関電に考えてもらいたい」と指摘。関電の森望社長や経済産業相との面談も考えているとした。 使用済み核燃料の県外搬出問題を巡り、関電は昨年末までに中間貯蔵施設の県外計画地点を県に提示できない場合、40年超運転の原発3基を運転しないと約束していた。関電は期限内に示せず、昨年10月に代替として工程表を提示。県は工程表と国の姿勢を確認した上で一定評価し、3基の運転継続を容認した。工程表は、再処理工場の9月完成を前提に2026年度から搬出を開始することが柱となっていた。 この日は関電の水田副社長と経済産業省資源エネルギー庁の山田仁・資源エネルギー政策統括調整官が県庁を訪れ、鷲頭美央副知事と面談。工程表見直しを報告するとともに、再処理工場の完成目標が26年度内になる理由などを説明した。 水田副社長は工程表の見直しについて、再処理工場の完成延期を踏まえて今後公表される再処理計画を反映する必要があるとし、搬出期間がどの程度遅れるか明言しなかった。「速やかに見直しに着手し、県民に信頼いただけるよう実効性のある工程表を示す。必要な搬出容量の確保はしっかりと進める」と強調した。 山田統括調整官は、再処理工場の24年度上期完成に向けて国が前面に立ち総力を挙げて指導すると約束していたことに触れ、「工程表の見直しが必要になったことは重く受け止める」と述べた。早期に実効性のある工程表を示すよう関電を指導するとした。 この後、清水智信・県議会副議長にも説明。清水副議長は「1年も経過しない中で見直しというのは立地地域との信頼関係を損ないかねない」と苦言を呈した。