【独自取材】航空自衛隊「無人偵察機」部隊に密着……驚きの操縦飛行 安全保障の最前線『every.特集』
■専門部隊を米技術者がサポート
実際に無人偵察機をどのように飛行させているのか。訓練の撮影が許可されました。 機体の周囲には隊員のほかにアメリカ人の姿も。彼はグローバルホークの製造に関わった企業の技術者。部隊はアメリカ側のサポートを受けています。 無人機なので当然、パイロットの姿はありません。どこで操縦しているのでしょうか? 案内されたのは、とある場所。コンテナとパラボラアンテナが並んで設置されています。 情報収集班長 水野達矢2等空佐 「この中でセンサーオペレーターとパイロットが実際に作業をすることになります」 機密保持のため、実際の操縦を撮影することはできません。 そこでパイロットの訓練に使うシミュレーターと実際の飛行作業を組み合わせて、パイロットがどのような操縦を行っているか説明します。
■地上からパソコンだけで操縦
パイロットの前にあるのは、モニターにキーボードとマウスのみ。 ――(操縦シミュレーターは)実機とほぼ同じ? 飛行班 菅原秀晃1等空尉 「はい。画面の枚数でありますとか、キーボード、マウスの数も実機と同じになっています」 ――操縦かんやペダルはなし? 飛行班 菅原秀晃1等空尉 「そうですね。マウスとキーボードのテンキー等を使って操縦を行っています」 一般的なパソコンだけで操縦できる理由。それは地図上に表示されているオレンジ色の点線にありました。どのような経路で飛行するのか事前に入力してあるのです。 飛行準備が整ったグローバルホーク。パイロットがマウスを使って“地上走行”そして“実行”とクリックすると… グローバルホークは滑走路に向けて移動を始めます。
■離着陸時の目視は「ホークアイ」で
しかし、パイロットは機体の周囲の状況を目視で確認することができません。そのため離陸と着陸の際は、後ろに「ホークアイ」と呼ばれる車がついて、操縦資格を持った隊員や技術者が周囲の状況をパイロットに伝えます。 米企業の技術者 「ヘリコプターが近づいているようだ」 必要があれば、パイロットはマウスの操作で機体を停止させることもできます。 米企業の技術者 「ランウェイ クリア」 滑走路に到達すると最終の確認を行い、“離陸”“実行”とクリックすると…グローバルホークは離陸を開始します。 離陸後は設定した航路を飛行しますが、注意しなければならないのが他の航空機の動き。 飛行班 菅原秀晃1等空尉 「近くに他の航空機がいる場合に、針路を変針しなければいけないときには、マウスを使って針路を任意の方向に変えることもできます」