イスラエル首相とハマス指導者の逮捕状請求-ICC主任検察官
(ブルームバーグ): 国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は20日、戦争犯罪容疑でイスラエルのネタニヤフ首相とイスラム組織ハマスのパレスチナ自治区ガザ地区指導者ヤヒヤ・シンワル氏の逮捕状を請求すると発表した。
カーン氏は声明で容疑について、ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃、ならびにイスラエルによるガザでの報復攻撃に関連していると説明。ICCの予審裁判部が請求を受け入れるか否かを検討する。
イスラエル指導者の逮捕状請求については、戦闘停止合意の機会を危うくしかねないと米国が警告していた。イスラエル政府は「正義を深くゆがめた」と非難した。
カーン氏は声明で、「国家の方針に沿って人道犯罪がパレスチナ市民に対して広範かつ組織的な攻撃の一環として行われた」とし、「われわれの評価ではこうした犯罪が今日まで続いている」と指摘した。
同氏はまた、イスラエルのガラント国防相と、ハマスの軍事指導者モハンメド・ディアブ・イブラヒム・アルマスリ氏と政治指導者イスマイル・ハニヤ氏の逮捕状も請求している。
ネタニヤフ首相は20日、「歴史的に見て道徳的な暴挙 」とし、カーン氏が「世界中で荒れ狂っている反ユダヤ主義の火に冷淡にガソリンを注いでいる 」とX(旧ツイッター)に投稿した。
バイデン米大統領はICCの逮捕状請求について声明で、「言語道断」であり、「イスラエルとハマスの間に同等なものは一切ない」とコメントした。
ブリンケン米国務長官は別の声明で、米国はカーン氏の動きを「根本的に」拒否するとし、この決定は「戦闘停止合意に向けて進められている取り組みに何の助けにならず、危険にさらしかねない」と表明した。
ただ欧州では、ベルギーのラビブ外相が今回の動きを歓迎する一方、チェコのフィアラ首相がイスラエル首相らを逮捕状請求の対象に含めたことを非難するなど、立場が分かれた。
ICCは集団殺害犯罪、戦争犯罪、人道に対する犯罪、侵略犯罪に問われる個人を訴追・処罰するための常設国際刑事裁判機関。イスラエルはICC非加盟で管轄権の行使も認めていない一方、パレスチナは2015年に加盟。米国も非加盟だ。