根強いインフレ、上方修正された米成長予測にリスク-消費低調か
(ブルームバーグ): 2024年の米国経済は今のところ想定通りに進んでいない。インフレ率は予想を上回っており、家計支出は勢いを失っているように見える。
急速なディスインフレが実質所得増加と借り入れコスト低下をもたらすとの見方などから経済成長予測は年明けごろに上方修正されたが、足元の傾向はこうした成長率見通しに新たなリスクをもたらす。
15日に発表される消費者物価指数(CPI)と小売売上高の2つの重要指標は、こうした予想に対するリスクがいかに現実的かを示唆することになろう。4月に非農業部門雇用者数と平均時給の伸びは鈍化したが、物価上昇でも相応の落ち着きが見られなければ、家計はさらに逼迫(ひっぱく)するだろう。
ルネサンス・マクロ・リサーチの米経済責任者ニール・ダッタ氏は、「労働市場は同じ状況ではなく、インフレになお粘着性があれば、成長見通しに大きな下振れリスクをもたらす」と指摘。「それが実質所得に何を意味するのか、心配し始める必要が出てくる」とした。
1-3月(第1四半期)のCPIは変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数で年率4.5%上昇と、昨年10-12月(第4四半期)の3.3%上昇から加速した。一方、ブルームバーグ・エコノミクス(BE)の試算によると、インフレ調整後の小売売上高は今年1-3月期に0.4%増にとどまった。昨年10-12月期は2.9%増だった。
エコノミストの間では、4月のインフレ率は23年末の水準に近づく形で減速する一方、インフレ調整前の小売売上高の伸びは鈍化すると予想されている。
家計が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)期に蓄えた過剰貯蓄はここ数年の個人消費で大きな原動力だったが、サンフランシスコ連銀の最近の試算によると、3月にはついに使い果たした可能性がある。
コロナ期に積み上がった米余剰貯蓄、ついに枯渇-SF連銀調査
最近のインフレ上振れが向こう数カ月に反転すると考える十分な理由がある。CPI高止まりの主因の一つは、家賃上昇の鈍化ペースが予想より緩やかなことだ。この指標は、引っ越しや契約更新時にのみ変更が公式データに反映されることもあって遅行する傾向がある。