『水ダウ』藤井氏のアマプラ新番組に「麻酔科学会」が激怒、過激化するネット配信は「テレビマン」のユートピアなのか
●配信は「疲れたテレビマンのユートピア」ではない
ただ、配信はテレビマンが期待するほど「なんでもありのユートピア」ではない。 あまりに不自由な地上波の息苦しさに疲れたテレビマンは「配信やネットなら何でもあり」と思ってしまいがちだ。 実際にはそんなことはない。ABEMAで制作を経験した実感からすると、ネットやSNSの炎上リスクは地上波以上かもしれない。 良いところはある。地上波には「謎の忖度に基づく中高年の上司からの意味不明なダメ出し」や「スポンサー関係の謎のしがらみ」がはびこる。配信ではそれが地上波より少なくなる。ただ、言ってみれば、それくらいのものだ。 そして、何より視聴者には配信プラットフォームに「地上波にはない過激な面白さ」を過度に望む危険な風潮がある。「自由になった」からと言っても、ちょっとやそっと安易な無茶をしてみたところで、視聴者は満足してくれない。 いろいろなことに配慮しながら、「気を引き締めつつ冒険をする」姿勢でないと、配信での成功は望めない。 常に批判の声に謙虚に向き合いつつ、危機管理もしっかり整えて、それでも面白い番組を作るためにギリギリを攻め続ける。かなり高度なミッションがテレビマンには求められている。そのことだけは常に忘れてはいけないと私は思っている。
●日本麻酔科学会の声明
日本麻酔科学会は、「静脈⿇酔薬プロポフォールの不適切使⽤について 」と題する声明では、静脈⿇酔薬は「呼吸抑制のリスクを伴うため、必ず⼈⼯呼吸管理が可能な環境で使⽤される必要があります」などと指摘。 一部のメディアで静脈⿇酔薬が娯楽やいたずらの⽬的で使⽤される場⾯が近年⾒受けられるとした上で、《特に、10月14日配信開始の番組において、プロポフォールが内視鏡クリニックを舞台に使用され、何らかの外科的処置を必要としない人物を意図的に朦朧状態にするという内容が含まれていることを知り、深い憂慮を抱いております》としていた。 番組名は書かれていなかったが、『KILLAH KUTS』のエピソード『麻酔ダイイングメッセージ』の内容をうけたものとみられていて、同学会は弁護士ドットコムニュースの取材にそれを認めた。