塩崎恭久・厚労相に聞く(全文1)受動喫煙対策 自民党に譲らなかった理由
──どうしてここまで今の方針で推し進めようとされているのか、ご自身の思いや、エピソードを聞きたい まず第一には、オリンピック、パラリンピックというのは間違いなく2020年に来るわけです。ご存じのように、2010年にIOC国際オリンピック委員会とWHOの間で、たばこのないオリンピックというので合意をしています。 たばこのないオリンピックで合意をして最初にきたのがロンドンのオリンピックでした。その次は、ソチ、冬季の。その次は、この間のブラジル、次は、もう韓国なんですが、黄色は屋内完全禁煙、で、このグリーンは、原則屋内禁煙で喫煙ルーム設置可というものなんですね。白は吸っていいですよというものなんです。このオリンピックの合意、WHOとのIOCとの合意ができた後のロンドン、ソチ、そしてリオ、いずれも完全禁煙でやってきました。 次の冬季の平昌、ここも実は、問題になっているのは飲食店なんです。飲食店について例外を設けたらどうだといっているのが自民党案でありました。それも100平米以下ということなので、実は(都内の飲食店の)この85.7パーセント、アンケート調査でいくと白(喫煙可)になっちゃう、こういうことなので、合意前ですけれども、北京、バンクーバー、ここも完全建物内禁煙できていますから、こういうオリンピックの伝統をここで韓国の次に、85パーセント白(喫煙可)にしますかということがまずあって。 目先の、きっかけの一つでありますけれども、重要なきっかけで、オリンピック、パラリンピックでたくさんの外国の方が来られて、外国では今までずっと禁煙でやってきた。そういうことを考えてみると、我々は、ここは、長年の伝統を日本が初めて破るということをやっていいのかどうか、やっぱりみんなで議論して答えを出さないといけないんじゃないかなと思うんですね。
個人の感覚でいきますと、がんで亡くなる僕の周りの人というのは、結構同い年とかもっと若い人も、何人も亡くなっていますが、そういった人たちが非常にたばこに神経質であったということを、私は初当選ごろから十分意識をしてまいりました。 実は、私の地元の小学生からお手紙をもらいました。そのお手紙には、おばあちゃんが食べ物屋さんを経営しているけれども、お客さんもとてもいい人なんだけど、一つ心配があると。お客さんがたばこをたくさん吸うので、おばあちゃんが肺がんになっちゃうんじゃないかと。塩崎さん、今、たばこを吸える場所を限定しようとされているけれども、オリンピックを開催した国で、喫煙を禁止して売り上げが下がったというところはないそうですね、ということまで書いてきてくれて。ですから、売り上げが下がらないなら、おばあちゃんががんにならないようにしてください、頑張ってくださいって応援のお手紙を私はもらったのです。 いつも私はこうやって入れているのですね、ポケットの中に。この原稿用紙にこうやってずっと。名前ちょっと消してあるけれども、こういう応援団が小学校5年生の女の子ですけれども、いて、私はこの間会いに行ってきました。 そんなこともあって、やはり売り上げが下がるんじゃないかと飲食店の方々が心配されているけれども、海外での経験を見てみると、規制を導入する前と後では、ほんとんど何も変わっていないし、むしろ8割以上の人がもう今たばこをお吸いにならないので、むしろ家族連れなど、今までたばこで敬遠していた人たちが来るようになるので、場所によっては、お客さんが増えたというところもあるそうです。ただ、心配されている人に、心配するなといってもなかなか難しいので、やはりここは粘り強くご説明をしていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。 【インタビュー】塩崎恭久・厚労相に聞く(全文2)へ続く