11月「物価高」倒産68件、4カ月ぶりの増加 1-11月累計650件、前年の年間件数を超す
2024年11月 「物価高」倒産状況
ドル円が乱高下するなか、「物価高」倒産が再び増勢に転じた。2024年11月の原材料やエネルギー価格の上昇を一因とした「物価高」倒産は68件(前年同月比25.9%増)で、4カ月ぶりに前年同月を上回った。 1-11月累計は650件に達し、2023年1年間の646件を超えた。長引く円安で輸入財が上昇し、物価の値上げを容易に価格転嫁できない中小・零細企業の苦境を浮き彫りにしている。 負債総額は293億7,100万円(同106.6%増)で、負債100億円以上で日本電解(株)(茨城、負債147億6,100万円)が1件(前年同期ゼロ)発生し、前年同月の2倍に増えた。 産業別では、最多は運輸業の16件(前年同月比45.4%増)。ドライバー不足に加え、燃料価格の高止まりや運賃転嫁の実現力で収益負担が異なり、価格交渉の難しい小・零細企業の倒産が目立ってきた。次いで、製造業13件(同8.3%増)、サービス業他12件(同9.0%増)と続く。 資本金別は、1千万円未満が42件(前年同月比61.5%増)と全体の6割(61.7%)を占めた。 形態別は、破産が59件(前年同月比18.0%増)で9割弱(86.7%)を占めた。 コロナ禍が落ち着くと同時に、物価高が急速に進んだ。また、転職市場の活性化で人手不足も深刻さを増しており、当面、物価高倒産はすそ野を広げながら高水準での推移が見込まれる。 ※本調査は、2024年11月の企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、①仕入コストや資源・原材料の上昇、②価格上昇分を価格転嫁できなかった、等により倒産(私的・法的)した企業を集計、分析した。