第93回選抜高校野球 中京大中京 ようやく夢舞台へ 開会式に映像 堂々行進 /愛知
<センバツ高校野球> やっと出場できる――。阪神甲子園球場で19日開幕した第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社など主催)の開会式で、バックスクリーンの大型ビジョンに堂々と行進する中京大中京(2年連続32回目選出)の選手たちの映像が映し出された。昨年選出されながら、新型コロナウイルスのため大会中止に見舞われた先輩たちの思いを胸に、選手たちが待ち望んだ日。初戦は大会第6日(24日予定)の専大松戸(千葉)との試合。いよいよ夢舞台で成果を出し切る時がきた。【酒井志帆】 午前9時から開会式が行われた。中京大中京の映像は、同校グラウンドで3月上旬に撮影したもので、原尚輝主将が選抜旗を掲げ、部員が元気よく行進する様子が流された。新型コロナ感染防止のため、第1日の登場校を除き、映像での参加とする措置。 この時間帯、中京大中京の選手たちは大阪府豊中市の球場で練習に励んだ。開会式の様子は、宿舎の大阪市内のホテルで夕食後、テレビの録画映像で見るという。 同校は、16日に大阪入り。開会式前日の18日にオンライン取材に応じた原主将は「とてもわくわくしている」。エースの畔柳亨丞投手は「やっと甲子園に出られるという気持ちが今は大きい」と喜びをかみしめていた。 チームは、練習試合が解禁となった6日以降、愛工大名電など5校を相手に6試合を行い、結果は2勝3敗1分だった。高橋源一郎監督は「実戦形式で出た課題を、しっかり修正して臨みたい。初戦に合わせ、状態が上がるよう練習を進めてきた。心配はしていない」と話していた。 ◇応援曲、甲子園へ届け 吹奏楽部 「スタンドにいるつもりで、応援の気持ちを音に乗せました」。こう話すのは、中京大中京の吹奏楽部(部員44人)部長の2年、加藤あずみさん。アルプス席での応援は、新型コロナ感染拡大防止のためブラスバンドの演奏が禁止されたが、事前に録音した音源を流すことができる。このため同部は15日に換気など感染対策を行った上で、応援曲の録音に臨んだ。 ピッコロを担当する加藤さんにとって、甲子園球場で演奏することは夢だった。甲子園での演奏禁止の知らせに、しばらく気持ちが沈んだが「音源を流せると聞いた時は、夢が半分かない、うれしい気持ちでした」と話す。 野球部、チアリーディング部と曲目を相談し、打順ごとに全10曲を録音した。なかでも、得点時に流す心浮き立つような明るい曲は喜びの気持ちを表し、思い入れが強いという。声が出せなくても応援が盛り上がるよう、本来掛け声が入るパートは、代わりに打楽器でリズムをとった。野球部が歌うパートは、トランペットのソロで代用するなど、演奏にメリハリをつけ、工夫した。 球場での演奏はかなわなかったが、加藤さんも大会本番は、現地から手拍子で応援する予定だ。「念願の大会を全力で楽しみ、悔いの残らない試合をしてほしい」と同校からエールを送った。