顔にビリッとした痛みが走る「三叉神経痛」の原因はご存じですか? 放置するリスクや治療法も医師が解説!
突然、顔に激しい痛みが走る「三叉神経痛」。しかし、痛み自体は一瞬なので、軽視して放置しがちです。はたして、我慢していれば治ることがあるのでしょうか。今回は、三叉神経痛の原因や症状、治療法などについて、「工藤脳神経外科クリニック」の工藤琢巳先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「三叉神経痛」になりやすい人の特徴 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
三叉神経痛とは?
編集部: 三叉神経痛とはなんですか? 工藤先生: 文字通り、三叉神経が原因で痛みが生じる疾患です。顔や歯、歯ぐきなどの感覚を伝える神経で、脳幹から出て3本に分かれることから「三叉神経」と呼ばれています。突然ビリッとする激しい痛みが瞬間的に発生することが特徴で、様々な動作をしたときに痛みが起こります。 編集部: もう少し詳しく教えてください。 工藤先生: 三叉神経痛は、電気が走ったときのような「電撃痛」が起こり、一度痛みは治まりますが、繰り返し痛みが出現することもあります。痛みは目の下や耳に出ることが多いですが、額に出ることもあります。痛みは一瞬で消えるのが特徴です。 編集部: どんなときに症状が出るのでしょうか? 工藤先生: 会話や歯磨き、洗顔、食事や飲水といったことが誘因となって痛みます。強い痛みで「ご飯が食べられない」「水が飲めない」「会話が苦痛」といった状態になってしまいます。なお、安静にしていれば基本的に痛むことはありません。 編集部: 誘因があるのですね。 工藤先生: そうですね。「電撃痛」「誘因がある」というのが三叉神経痛の特徴です。そして、もう1つの特徴として「トリガーポイント」があります。個人によって差はありますが、頬骨の下や、顎の中心より少し外側など、あるポイントを軽く叩くと痛みが出現します。
三叉神経に痛みが出現するメカニズム
編集部: なぜ、三叉神経に痛みが出るのでしょうか? 工藤先生: ほとんどの場合、頭蓋骨の内側を走行する三叉神経に、血管が接触・圧迫することで症状が出現します。原因は明確になっていませんが、加齢が関係していると言われています。加齢により動脈硬化などが進行し、血管の柔軟性がなくなって三叉神経を圧迫してしまうのです。 編集部: 加齢が主な原因なのですね。 工藤先生: ただ、稀に脳腫瘍などの病気が原因で症状が出ることもあるため、「歳のせい」と放置せず脳の検査を受けましょう。また、動脈硬化のない若い人でも発症するので、思い当たる症状のある人は受診してください。 編集部: 三叉神経痛を放置すると、どうなるのですか? 工藤先生: 三叉神経痛そのものは、放置していても命にかかわるような疾患ではありません。しかし、痛みは相当なものであり、生活に支障が出るケースがほとんどです。自然に改善することもあれば、悪化していくこともあります。また、いったん症状が治っても、しばらくしてから再び痛みが出現することもあります。治療法もいくつかあるので、まずは一度受診していただきたいですね。