天皇のおくりな、森鴎外が綿密チェック 解説書の草稿に書き込み240カ所
帝諡考の編さんは、鴎外にとって特に正確さを求められる仕事で、慎重な配慮があったはずだ。書き込みは、発想の深い部分や帝諡考の成り立ちを知る手掛かりになるのではないか。 諡号と森鴎外 「帝諡考」は「諡(諡号)」について、追号のうち美刺(ほめる、そしる)の意義を有するものと定義している。「〇〇尊(みこと)」のような国風(和風)と漢字による漢風がある。地名などによる「〇〇院」や一世一元制以後の「明治天皇」の追号は狭義の諡ではないが列記されている。 文豪、軍医総監として有名な森鴎外は、宮内省で歴代天皇の調査や、日本書紀などの歴史書「六国史」の校訂に携わった。正倉院の一般公開につながる道を開いたのも鴎外だった。