鴻海による買収後、初の生え抜きCEO シャープ社長に沖津氏 家電などの経験買われる
シャープは26日、沖津雅浩副社長が27日付で社長兼最高経営責任者(CEO)に昇格する人事を発表した。シャープ生え抜きの日本人がCEOに就任するのは、平成28年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されて以来初めて。呉柏勲(ごはくくん)社長兼CEOは代表権のある取締役になる。27日に開催される株主総会後の取締役会を経て正式に決定する。 シャープは沖津氏の社長兼CEO昇格について、「長年にわたり(家電などの)ブランド事業を牽引(けんいん)し、副社長として経営を担ってきた経験から適任と判断した」と説明。同社は5月に発表した中期経営方針で、ブランド事業を中心とした事業構造に転換する方針を示しており、家電などに詳しい日本人社長が適切と判断したとみられる。 一方、株主総会前日にトップ交代を発表した理由については「コメントを控える」としている。呉氏は取締役としてシャープに残るとしているものの、鴻海とシャープの今後の関係がどう推移するかは未知数だ。 シャープは令和4年に鴻海主導で大型液晶パネルを生産する「堺ディスプレイプロダクト(SDP)」(堺市)を再子会社化したことで2期連続の最終赤字に転落。今年5月にSDPでのパネル生産停止を発表後、人工知能(AI)向けデータセンターへの転用が発表されたが、敷地面積の約6割はソフトバンクに売却する方向で検討が進んでいる。(桑島浩任)