ガザ地区の今 武力衝突から半年…狙われる南部の街 地上侵攻の恐れ 【バンキシャ!】
日テレNEWS NNN
イスラエル軍とイスラム組織ハマスの武力衝突から、7日で半年。ガザ地区での死者は3万3000人を超えました。今、最も懸念されるのは、人口の半分以上が集中しているという、南部ラファへの侵攻にイスラエルが踏み切るかどうかです。取材で見えてきたラファの現状とは――。(真相報道バンキシャ!) ◇◇◇ 6日、バンキシャ!が取材したのは、ガザ地区出身のジャーナリストのムハンマド・エルヘルさん。 ムハンマド・エルヘルさん 「病院にいます」 ──周りの状況を見せてもらえますか? ムハンマド・エルヘルさん 「こちらはハンユニスにあるヨーロッパ病院です。この病院だけがハンユニスの中で唯一、稼働しています」 エルヘルさんが取材しているのは、ガザ地区南部のハンユニス。今は、病院の敷地内のテントで暮らしている。戦火をくぐり、取材を続けるエルヘルさん。戦闘開始から半年となり、いま思うことは…。 ムハンマド・エルヘルさん 「街は破壊され続け、180日が経ちました。精神的にも追い詰められています」 2月に別の病院(ハンユニス・ナセル病院)を取材していた時の映像には…。 ムハンマド・エルヘルさん 「多くの負傷者と殉教者(死者)がいます」 男性 「どこにいるんだ」 (銃声ぱんぱん) 男性 「どこを撃たれた?」 撃たれた男性 「脚だ、脚だ」 すると、女性が身をかがめ、救出へ。銃声が鳴り響く中、負傷者を運び出している様子が映されていました。 エルヘルさんがいま最も懸念していることについて、「戦車や戦闘機が少しずつ迫ってきています。ラファも侵攻される恐れがあります」と話した。 国連によると、ガザ地区の人口の半分以上のおよそ150万人が押し寄せているラファ。もし地上侵攻が始まれば、多くの死傷者が出る恐れがある。今、ラファはどうなっているのか? バンキシャ!が5日、ジャーナリストのムハンマド・マンスールさんに話を聞くと、マンスールさんは「地上侵攻はまだだが、すでに激しい攻撃は始まっている」と話した。 ムハンマド・マンスールさん 「モスク、学校、病院、牧場、農場、すべてが空爆で狙われています」 マンスールさんが3日前の4月4日に撮影したラファの映像には―― ムハンマド・マンスールさん 「イスラエルの戦闘機が爆撃した家です」 住宅が爆撃にあい、一家4人が死亡したという。現場には、親族の姿が映されていた。 死亡した4人の親族 「これは赤ちゃん用のお風呂です」 死亡した母親は、妊娠9か月の妊婦だった。 死亡した4人の親族 「そろそろ出産だから準備していました」 「もうすぐ生まれるはずだったんです」 ムハンマド・マンスールさん 「罪のない子ども、女性、ラファに避難してきた人がたくさん殺されます」 「世界は沈黙しないでください。人道的な姿を見せてください。この戦争を止めてください」 話を聞いたのは、ラファで支援活動を続けるNPO「パレスチナ子どものキャンペーン」のスタッフ。 ハリール・タタリさん 「必要な物は水、食べ物、家。すべて、すべてです」 提供できる炊き出しは1日1回。豆を煮込んだスープのみだ。 世界食糧計画(WFP)によると、食料不足が続いているガザ地区では、人口の半数が飢餓の危機に陥っているという。 ハリール・タタリさん 「ガザの子どもはみんなけがや爆撃や恐怖、食べ物がない、のどが渇いた、そういった話しかしません」 「友達が亡くなった可能性がある。“あしたは私かも”と話していました。子どもがです。子どもたちの将来はどうなるのか、とてもつらい」 ハリールさんがいま伝えたいことは…。 ハリール・タタリさん 「私はいとこを2人、義理の父、母、妹。妻は家族全員を亡くした」 「ガザの人たちそれぞれに悲しいストーリーがある。忘れないでください」 (4月7日放送『真相報道バンキシャ!』より)