薬局での試験販売が始まった緊急避妊薬＝１１月２８日午前、東京都荒川区

　性交直後の７２時間以内に飲んで望まない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬（アフターピル）」を医師の処方箋なしで特定の薬局で買えるようになる取り組みが１１月２８日から始まった。通常は産婦人科などを受診して医師に処方箋を書いてもらう必要がある薬。避妊に失敗した時や性暴力を受けた場合などにすぐに薬を手に入れる必要があるため市販化を求める声が強く、課題を検証するために調査研究として試験販売が始まることになった。ただこの薬で必ず妊娠を防ぐことができるわけではないので注意が必要だ。どこでどんな人が購入できるのか、気をつけるべき点などを厚生労働省から業務委託を受けた日本薬剤師会や専門家に聞いた。（共同通信＝村川実由紀、寺田佳代） 「性被害者救うため早期市販を」緊急避妊薬

緊急避妊薬試験販売サイトのＱＲコード

　▽全国１４５店舗、対象は１６歳以上 　日本薬剤師会によると、今回の調査研究で全国１４５店舗の薬局で処方箋なしで購入できるようになる。各都道府県におおむね２～３店舗ずつ設けたが、地域に偏りはある。 　研修を受けた薬剤師がいて、営業時間外の相談などの対応が可能で、近くの産婦人科などと連携でき、プライバシーの配慮ができるような薬局が選ばれている。薬局には事前の電話相談が必須だ。 　対象は１６歳以上。研究参加に同意した女性本人だけが購入でき、服用後のアンケートへの協力が求められる。薬剤師の目の前で服用する。１６歳、１７歳は保護者の同伴と同意が必要になる。 　さまざまな制限が設けられていることについて日本薬剤師会の長津雅則常務理事は「入手のハードルを下げるための助走期間。まだ薬局販売が解禁されたわけではなく、データを集める研究段階です」と説明する。 　１６歳未満の場合は試験販売の対象とはならないので、これまで同様に医療機関を受診する必要があるとし、この薬を正式に処方箋なしで購入できる市販薬とするかどうかや、対象年齢をどうするかは今後の議論だという。「利便性があり、かつ安全性も担保されるにはどういう販売方法がいいか、分析できるようにデータを集めています」と話す。