緊急避妊薬はどこで処方箋なしで買えるの? 11月から試験販売開始、100%妊娠しないわけはないのでご注意を
試験販売での価格は7千~9千円程度とされている。処方箋がある場合は自由診療なので価格はばらばらだが、厚生労働省の調査では平均約1万5千円だった。オンライン診療での処方も可能となっている。 ▽どんな薬? 日本で製造販売承認されているノルレボ錠とそのジェネリック医薬品(後発薬)のレボノルゲストレル錠の2種類。ホルモンの働きを使って排卵を遅らせて妊娠を防ぐ効果が期待されている。 ノルレボ錠は薬の安全性や効果を確かめる国内外の臨床試験(治験)では、性交後72時間以内の服用で8割ほどの妊娠を止められたという結果が出ている。主な副作用は不正出血、頭痛、吐き気など。長尾さんは「不正出血を月経と勘違いしてしまう恐れがある。試験販売では服用後3週間後の受診を勧めています」と話している。 妊娠を望まない場合、緊急避妊薬を飲めば他の方法での避妊を行わなくて大丈夫というわけではない。あくまで緊急的な手段で、性交から時間がたってしまうと効果はないため、試験販売では72時間超えていたら購入できない。また、この薬を飲んだ後に妊娠する可能性もある。
▽意見公募の結果は… これまで緊急避妊薬の市販化の要望はあっても、なかなか進まなかった。2017年に厚生労働省の検討会議で取り上げられたが、インターネットも含めた安易な販売や悪用などの恐れがあるとされ、見送られた。 その後、処方箋なしで利用可能とする方針を盛り込んだ「男女共同参画基本計画」が2020年に閣議決定され、議論が再開。 2022年12月から2023年1月まで厚生労働省が実施した意見公募では異例の4万6312件もの意見が集まり、ほとんどは賛成意見だった。 ▽情報提供 服用する女性に正しい情報が伝わるよう、薬を渡す際の注意事項をまとめた薬剤師向けの動画や、問診票を試験販売とは別に作成している団体もある。京都大SPH薬局情報グループだ。代表の岡田浩教授(現在は和歌山県立医科大)は「緊急避妊薬は一刻も早く渡すことが必要とされる薬。スムーズに薬を提供できる体制を整えてほしい」と期待を込める。
作成のきっかけは、2020年に国が処方箋なしでの販売方針を示した際、「これまで医師がやっていたことを薬剤師には任せられない」「薬局ではプライバシーが守れない」という声が出たことだった。実際に薬剤師の間でも販売に不安があるという声も聞き、手厚い情報提供の必要性を感じた。 問診票は薬局内でのプライバシーを守るため、性交渉があった日や妊娠が心配な理由を記入し、会話がなくても必要な聞き取りができるようになっている。岡田さんは「薬剤師は困っている人に直接会って手をさしのべることができる距離にいる」として「この距離感を生かして、少しでも早く必要な人に薬が届いてほしい」と呼びかけた。