長狭高校科学部が「文化部のインターハイ」で奨励賞受賞 鴨川(千葉県)
岐阜県で開かれた全国高校総合文化祭(総文祭)の自然科学部門化学分野で、県代表として出場した鴨川市の長狭高校科学部が、ヨウ素デンプン反応を応用した研究内容を発表し、奨励賞を受賞した。生徒らは「今まで地道に取り組んだ実験が認められてうれしい」と喜んでいる。 平田茉央部長、榎本梨乃さん、鎌田純さん(いずれも3年)、安西眞歩さん(2年)は、デンプンがヨウ素液に触れると青紫色に変化する「ヨウ素デンプン反応」に用いる溶液の酸化の原因と、デンプン反応が起きるまでの時間について、昨年5月から研究。2種類の溶液を混ぜ合わせ、溶液の色が変わるまでの時間を調べる実験では、朝から晩まで12時間、2分おきに同じ作業を繰り返し、色が変わるまでの時間をグラフ化した。長時間にわたる実験を重ね、二酸化炭素や温度が、色が変わるまでの時間に影響を与えるという結果を導いた。 昨年11月に県代表に選出されて以降も研究を進め、総文祭の前の週も、丸3日連続で実験に取り組んだ。冬と夏では溶液の温度が変わるため、反応速度が変化するという新たな実験結果も盛り込み、発表時間の12分以内に収まるようにひたすら練習。本番前夜も、ホテルの一室に集まり、表現の仕方、スライドの見やすさにこだわって修正し、発表に臨んだ。 化学分野には、44校が出場した。審査員や他校の生徒らを前に、「思っていたより緊張せずに、いつもどおり発表できた」と平田部長。奨励賞は、最優秀賞、優秀賞に次ぐ賞で、実験のデータ数の多さが特に評価されたという。
総文祭は「文化部のインターハイ」ともいわれる。3年生の3人は「実験が好きでなんとなく入った科学部。まさか自分が“インターハイ”に出るなんて思いもしなかった」と声をそろえる。1年生の時は、週3日、生物室に集まっておしゃべりをして、ウーパールーパーを飼育するのが活動だったという。 ところが、2年生の春、両角治徳教諭が顧問に着任。初日から「全国を目指す」と宣言し、活動は週6日になった。3人は「戸惑いしかなかった」と当時を振り返るが、休むことなく実験に励み、「気が付いたら実験漬けの日々で、全国を目指していた。本当に濃い1年半だった」と笑った。 両角教諭は「よく辞めずについてきた。間違いなく県内で一番実験をやってきた生徒たちだから、この結果は当然」と生徒たちをたたえた。 部員9人中、1、2年生は計3人のみ。3年生は、受験シーズン以外は部活動を手伝う予定だといい、「コツコツ続けるメンタル、長時間取り組む忍耐力、人前で堂々と話す力が養われた。この経験を今後に生かし、後輩たちにもつないでいきたい」と胸を張った。 (安藤沙織)