11年後に温室ガス60%削減 世界に示す日本の目標案
5年に1度、世界各国が国連に提出する、温室効果ガスの削減目標について、日本の新たな目標の原案が取りまとめられました。 政府は2050年までに温室効果ガスの実質排出量(排出量-森林などによる吸収量)をゼロにするとしています。そのための削減計画として、前回2021年に決定した計画では、2030年度46%削減(2013年度比)を目標にしていました。この目標について政府は、順調に進んでいるとしています。 それから5年後の目標となる今回の削減目標の原案が、政府の地球温暖化対策計画について議論する会合で取りまとめられました。 新たな削減目標の原案では、2035年度に、温室効果ガス60%削減、さらに2040年度に73%削減(いずれも2013年度比)を目指すとしています。"60%"、"73%"は、基準年とした2013年の温室効果ガス排出量と、排出量実質ゼロを目指す2050年を直線で結んだ時、2035年度、2040年度時点での排出量に相当する値です。 会合では60%では不十分だという声の一方で、削減には経済的なコストがかかり、むしろ目標を下げるべきとする声も上がるなど、意見が分かれました。より高い削減目標を求める委員からは、温暖化を食い止めるために世界が目標としている水準と比較すると、2035年度60%削減では不十分で、日本の国際的評価が下がるといった意見が出されました。 これに対し、60%削減は十分野心的で国際水準にも整合しているという意見のほか、経済界からは、削減のための技術や製品の開発・普及には時間もコストもかかり、大幅な経済成長が必要といった理由から、目標を下げるべきという声があがっていました。 新たな削減目標は来年2月までに国連に提出する必要があり、今後、今回の原案を踏まえて削減目標を盛り込んだ地球温暖化対策計画が閣議決定されます。