36歳管理職が青ざめた…部下の前で「忙しいアピール」をした結果起きた「まさかの事態」
ある日突然、部下が辞めると言ってきて……
「深夜まで働くとか、休日出勤するとかって、一つの話のネタなんですよね。部下との会話に困った時に、そういう忙しいネタって使いやすくて。なので、よく話してました。あと、自分はこんなに頑張ってるんだぞって部下にアピールしたい気持ちも正直ありましたね。そうしたら、ある日突然、部下が辞めると言ってきて……。 その理由を聞くと、『Yさんはかなり忙しそうにされてますけど、自分は昇進して管理職になったら、Yさんみたいには頑張れないなと思うんです。だったら早めに辞めて、別の会社でキャリアを積んだほうがいいと思ったので』って言われまして。 ショックでしたね。今思えば、彼が辞めた原因は、自分の忙しいアピールにあったのかもしれないです」 また、「会社は金儲けのことしか考えていない」「こんなやり方をしているようでは、この会社はいずれダメになる」「社長は何か問題があるとすぐ感情的になって取り乱す」といった仕事の愚痴、経営陣への不満を部下に言うほどに、部下は会社や経営陣が信頼できなくなります。これもまた部下の離職の動機を高めます。 そして、部下が離職して苦しむのは誰かというと、それを言った上司本人です。部下が辞めると、それまで部下がやっていた仕事を上司が引き継ぐことは少なくありません。そうなると、さらに上司は忙しくなります。
管理職に過剰な負荷をかけない体制づくりを
あるいは、別の部下が引き継いだ場合、業務量が増えることで、その部下の離職の動機が高まります。それでその部下が辞めると、また他の部下の負荷が重くなるといった形で、離職の連鎖が起きることも珍しくありません。 また、部下の離職は人事評価に悪影響をもたらします。特に人手不足が深刻な会社では、部下の離職は会社としても重大な問題となるため、部下に離職された上司の評価は大きく下がります。 つまり、忙しいアピールや会社の愚痴を部下には言わないことは、上司本人の身を守ることでもあるのです。そういった意味でも、この点はご注意いただければと思います。 とはいえ、忙しいアピールをしない、会社の愚痴を部下に言わないということは、その部下が管理職になった後に直面する負の実態を隠すことでもあります。それにより一時的には離職を防げるかもれしれませんが、それは根本的な解決策とはいえません。 根本的な解決策、それは管理職に過剰な負荷をかけずに済む経営体制を構築することです。 そのため、経営陣の方は管理職に「忙しいアピールをするな」「会社の愚痴を部下に言うな」という指示をして、若手社員の離職を防ごうとするだけでなく、管理職に過剰な負荷をかけずに済む経営体制を目指していただきたいと思います。
藤田 耕司(経営心理士、公認会計士、税理士)