“対中強硬路線はひとまず我慢?”台湾の次期国家安全保障人事がバイデンを安心させた背景
4月25日、台湾の頼清徳次期総統は国家安全保障チームの人事を発表した。呉釗燮(現外相)、顧立雄(現国家安全会議議長)ら、蔡英文政権下で米国の対中政策に関与してきた人物が多く含まれている。 この人事についての予想は、発表前から既に広く報じられており、4月15日ウォールストリート・ジャーナル紙の解説記事‘Taiwan’s Incoming Leader Sends Reassuring Signal to U.S. on National Security’は、人事は米国に対し台湾が対中政策を大きく変えることはないと安心させることになるだろう、とする解説記事を掲載している。要旨は次の通り。 台湾の頼清徳次期総統は国家安全保障チームに現政権からの残留組を充てる準備を進めている。これは、ホワイトハウスがウクライナやガザといった地政学的危機に直面するなか、次期政権は波風をあまり立てないという米国へのシグナルである。 国家安全保障チームには、事情通によれば、ワシントンでおなじみの顔ぶれが多く含まれることになろう。 政府当局者や政治アナリストたちによれば、予想される人事は事実上、現政権(蔡英文政権)の内閣改造に相当し、継続性のジェスチャーを意味する。これはバイデン政権に好意的に受け止められよう。
頼の政治的台頭は米中の当局者を不安にさせた。米当局者によれば、頼は蔡よりも行き過ぎたレトリックで中国を刺激し、米国を危険な対立に引きずり込むのではないかと、ホワイトハウスは懸念してきたという。 前任者とほぼ同じ国家安全保障チームを任命することはワシントンで歓迎され、頼は台湾の対中姿勢を急激に変えることはなさそうだとホワイトハウスを安心させるのに役立つだろうと。 事情通によれば、頼は顧立雄・現国家安全会議議長を国防部長(国防相)に、2016~17年に同職にあった呉釗燮・現外交部長(外相)を国家安全会議議長に起用する計画だ。林佳龍・総統府秘書長は、ワシントンではあまりなじみがないが、呉外相の後任となると言われている。(注:4月25日の発表ではこれらの通りとなった) 顧氏のリーダーシップの下で、台湾軍は非対称能力への支出を加速する可能性が期待される。これは、台湾がより大規模な中国軍による攻撃の抑止に焦点を当てる中で、ワシントンの多くの人が求めている道である。 * * *