名字博士が解説。「堀米」のルーツとなった場所ってどんなところ？
堀米（ほりごめ）
「堀米」という名字は地形由来の名字です。しかし、堀の中では米を作ることはできません。いったいどういう場所に因んでいるのでしょうか。 中世の領主は丘陵など小高い所に屋敷を構えました。そして、その麓にある集落を「ほりごめ」といい、漢字では「堀籠（篭）」と書くことが多いのです。 しかし「籠」という漢字は複雑なため、より簡単な漢字である「米」や「込」を使って「堀米」「堀込」とも書くようになりました。 地名も東日本各地に「堀籠」「堀米」「堀込」という地名があり、こうした場所から「ほりごめ」という名字も生まれました。 現在「ほりごめ」という名字は長野県から関東にかけてと、東北南部に多く、多い方から「堀籠」「堀米」「堀込」の順ですが、それほど差はなくいずれもごく普通の名字です。 ただし分布はかなり違い、「堀籠」が宮城県大和町に集中しているのに対し、「堀米」は山形県と長野県に多く、「堀込」は群馬県と長野県に集中しています。
森岡浩／Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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