国宝の名を冠した名物グルメ 福岡市東区・志賀島の「金印ドッグ」
店の敷地に置かれた船の形の建物は当時の名残です。現在はオブジェとして、ドライバーに新しい店舗の存在をアピールしています。 「本当に変わった人でしたね」と振り返る佐々木さん。気持ちよく遊びに来てほしいからと、店の前の県道に「やすらぎ街道」と”命名”し、店名も「やすらぎ丸」に。自らは「へっぱく船長」と名乗っていました。
へっぱくとは福岡の方言で「へりくつ」や「へんてこ」といった意味があります。佐々木さんは「みんなから船長と呼ばれて慕われていました」と懐かしみます。 「誰が言ったかこの道を やすらぎ街道と 私が言った」――。店の壁などには、船長の“へっぱく”な人柄を表す言葉が残っています。
島が人でにぎわうように
いろんな味を楽しんでもらおうと、店のメニューも充実しています。一番人気の金印ドッグ(税込み650円)をはじめ、ツナを使った「シーフード」(同)、ピリ辛チキンが入った「シカゴ」(税込み500円)、ウインナーを挟んだ「ポーク」(同)など、13種類を提供しています。
営業は昼11時から夜中の2時30分まで、年中無休です。「せっかく遠くから来てくれたのに、店が閉まっていたらガッカリさせてしまう」と、高木さんはよく言っていたそうです。夜は若い客が多く、駐車場がいっぱいになることもあります。 昼間は地元のお年寄りや、家族連れがやって来ます。若い日の思い出の味を求めて訪ねてくる客もおり、佐々木さんは「昔、デートで立ち寄ったという夫婦が、子どもや孫を連れて食べに来てくれることもありますよ」と笑顔を見せます。
店はテイクアウト専門です。購入した商品は、近くの砂浜や堤防などで、海を眺めながら頬張るのがおすすめです。 さっそく志賀島に渡り、車で5分ほどの金印公園でいただきました。
博多湾の光景とともに楽しむ金印ドッグは格別です。しっかり焼かれたパンの外側はカリカリ、中はソースが染みたキャベツがジューシーで、しっかりしたステーキ肉とイカの食べ応えに満足感が広がります。 佐々木さんは「先代は、志賀島にたくさんの人が集まってくれるようにとの思いを込めて店を出しました」と話します。「島が人でにぎわうように、また食べに来たいと思ってもらえるように、この味を大事にしていきたい」
読売新聞