〈紅麴サプリ問題は終わっていない〉健康食品の安全と“正しい利用”へ、私たちがすべき7つの課題
健康食品の治療効果
消費者庁「健康食品Q&A」には次の記載がある。「健康食品は薬ではなく食品ですので、薬のような効果を期待してはいけません。本当に薬のような効果がある場合、それは、もはや食品ではなく、薬として規制されることになります」 日本食品保健指導士会のホームページにも次の記述がある。「健康食品は、薬ではありませんので、すぐに効用がみられ、体調が改善されるというものではありません。治療を目的としていないので、『効く』や『治る』という医薬品の効能・効果を表す言葉は使ってはいけないこととされています」 医薬基盤・健康・栄養研究所の『健康食品」の安全性・有効性情報』には「健康食品の利用で最も避けなければならないことは、病気の治療を目的に使うことです。健康食品そのものが安全でも、適切な治療を受ける機会を逃して病状が悪化したり、医薬品と併用して医薬品の効果の減弱や副作用の増強が起きたりする可能性があるからです」という記載がある。 国は健康食品を治療に使うことを「禁止」しているのだ。ところが、実際には、健康食品の利用者の34%、生活習慣病などがある人の46%、70 代の高齢者の64%が処方薬と健康食品を併用している。要するに実際は健康食品が病気の治療に使われている。そして実は国もこれを認めている。 それは機能性表示食品とトクホの臨床試験として、軽症者を被験者にすることを認めていること、すなわち健康食品の「治療効果」の確認を認めているのだ。被験者が「病人」ではないから「高血圧の人に」とか「糖尿病の人に」などの治療や予防効果を暗示する表示は禁止しているが、「軽症者」だから「血圧が高めの方に」とか「中性脂肪や血糖値が気になる方に」という表示を許可している。これは、国が健康食品を軽症者の治療に使用することを「公式に」認めていることに他ならない。 「効果がない健康食品を治療に使うと、適切な治療を受ける機会を逃がす」という批判がある。しかし、治療効果は臨床試験で確認されているし、そもそも効果がなければ消費者は購入しないだろう。健康食品の利用が「適切な治療を受ける機会を逃がす」というのであれば、自己判断で摂取する一般用医薬品(OTC)も同じである。 現実を見ると、病人は医療機関で医薬品により治療し、軽症者は薬局でOTCあるいは健康食品を購入してセルフメディケーションをするという住みわけができている。一部に広がっている「健康食品は効果がない」という誤解は、健康食品の試験法を変えることで解消できると考える。