〈紅麴サプリ問題は終わっていない〉健康食品の安全と“正しい利用”へ、私たちがすべき7つの課題
安全性の向上
紅麹サプリ事件は健康食品の買い控えに発展し、売上は1割減少した。それは健康食品に対する信頼が大きく損なわれたためである。 信頼回復の最も重要な方法は、これ以上「悪いうわさ」が出ないようにすることだが、その第一は健康被害を起こさないことである。次は経済被害の防止であり、「お試しのつもりが定期購入だった」など契約条件が明確に示されていない例、解約手続きが困難などの問題である。また誤解を招く広告も後を絶たない。 もちろん行政は解決の努力をしているが、問題は減る気配を見せない。それではどうしたらいいのだろうか。 実は問題を起こした製品の大部分が「いわゆる健康食品」であり、保健機能食品は問題が少ない。もちろん「いわゆる健康食品」がすべて悪いのではなく、一部の製品が消費者の不信の原因になっている。その背景には、「いわゆる健康食品」が法律上は単なる食品であるため、一般の食品より厳しい規制が困難な事情がある。 健康被害の原因はホルモン作用を持つプエラリア・ミリフィカのように機能性関与成分自体の問題もあるが、痩身剤や勃起促進剤などの医薬品等の混入、そして紅麹サプリ事件のような製造工程管理の失敗などもある。そして最大の原因は、サプリ形状にある。 抽出した有効成分を濃縮してサプリ形状に加工すると、食品ではありえない高濃度を継続して摂取できるようになり、過剰摂取による健康被害が起こるのだ。 だからサプリ形状の製品の安全を守るためには厳格な規制が必要である。例えばサプリ形状の製品はすべて保健機能食品と見なして、保健機能食品ではないサプリ形状食品を禁止する「形状規制」が考えられる。
かつてはこれを厚生省薬務局長通知「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」(通称46通知)により実施していた。しかしこれが01年に解禁されたため、サプリ形状の「いわゆる健康食品」問題が急増した。形状規制を再度実施することも一つの方法だが、解禁の原因になった日米貿易摩擦問題が再燃しかねない。 次の手段は、すべてのサプリ形状食品の製造工程にGMPを義務化することである。トクホと機能性表示食品については義務化されているので、新たな対象は「いわゆる健康食品」になる。 この方法は改正食品衛生法に取り入れられ、「指定成分等」、すなわちプエラリア・ミリフィカなどリスクがある4種類の成分を含む食品の製造にはGMPが義務化されている。これをサプリ形状の食品全体に拡大できれば「いわゆる健康食品」の安全性は大きく改善され、健康食品に対する消費者の信頼回復につながるだろう。これが第4の課題である。