大学生と高校生による女子野球交流試合「長崎県対馬市で彼女たちが得たものとは」
試合レベルの高さにも両氏は驚いていた。基本的な低いミスは全くなく、お互いに強い打球を打ち返す攻撃的な好ゲームだった。 「うまい、と言うのが失礼なくらい普通に高いレベルの試合をやっている。目についたのは女子独特の身体の柔らかさ。筋肉だけでなく関節も柔らかく、腕の使い方などはジュニア選手に似ている感じ。力強さをプラスしていけばどんどん上達すると思います」(攝津氏) 「試合を見ていて単純に面白かったです。両チームとも打線が素晴らしく、しっかり振り切った強い打球を放っていた。女子は男子に比べて身体の線が細いのは仕方がないので、体幹や軸をしっかり意識することで補える。毎日積み重ねれば、もっとレベルが上がるはずです」(吉村氏)
~時間と人を大事にすることが上達にも繋がる
多くの人々の協力のもと、選手たちは素晴らしい経験ができたはず。両監督に2日間の貴重な体験を総括してもらった。 「それぞれ感じたことはあるはずですが、今のままで良いと思います。なぜならみんなが楽しそうだから。野球という好きなことをやる中で、勝ったり負けたり、人生で大切なことを学んでいる。もちろん将来を考えることも重要ですが、今の野球を楽しんでくれれば、自然と多くのものが身についているはずです」(池田監督) 「交流試合を2試合こなしたからといって、急激に技術が伸びるはずはありません。対馬に着いた瞬間、もっと言えば埼玉を出た時から、何かを選手たちは感じているはず。対馬や、相手チームの人々と交流することができたのが何よりの財産。最後は人との縁が一番大きいと思います。野球、そして人生に何かしらの形でプラスになったはずです」(濱本監督)
「今という時間を大事にする」「人との出会いが宝」 両監督が語ったことは、野球と離れた人間性(力)に関係したことに思える。どのような競技、さらに言えば人生において土壇場で最大限の力を出すためには人間力が高いことが求められる。対馬での経験は両チームの選手たちを、多くの部分でレベルアップさせたに違いない。今後はそれぞれのカテゴリーで結果を出すと共に、女子野球界全体の刺激になってくれるはずだ。 (取材/文/写真・山岡則夫、取材協力・攝津正、吉村裕基、鴛海秀幸、対馬市、平成国際大学女子硬式野球部、折尾愛真高校女子硬式野球部)