気象予報士だけではない? 元アナが語る「生放送で泣きたくなる瞬間」
今月1日、NHK山形のローカルニュース番組「NHKニュースやまがた6時」で、番組途中に気象予報士が泣き出すというハプニングがあった。伝えようとした地域の映像と異なる地域の映像が画面で紹介されたために動揺したとのことだ。 元アナウンサーで、お天気コーナーを担当した経験を持つ私からすれば、実に同情してしまう出来事だった。生放送にハプニングはつきもので、テレビ出演をしていれば、アクシデントから頭が真っ白になることは何度も経験することだからだ。
気象予報士には、関東地方でおなじみのTBS夕方のニュース番組「Nスタ」に出演している森田正光さんのように、長年の出演経験をもち、楽しく、わかりやすく伝えてくれる方がいる。TBS朝のニュース番組「あさチャン!」に出演している尾崎朋美さんのように、前職が地方テレビ局でアナウンサーという気象予報士は、テレビの前で話す訓練を受けており、生放送の経験も豊富だ。 一方、今回の気象予報士の女性は気象情報会社「ウェザーマップ」から派遣されており、同社HPのプロフィールによると、テレビの生放送のレギュラーは「NHKニュースやまがた6時」が初めてのようだった。テレビでしゃべる経験という意味では、新人アナウンサーと変わらなかったのかもしれない。
数百万人の前で演説しているような「孤独感」
アナウンサーやリポーターが一人で中継をする場合、周りはカメラマンやディレクターなどたくさんの仕事仲間に囲まれている。しかし、中継が始まればカメラの前に立てるのはたった一人、アナウンサーのみ。ミスをしたからといってやり直しなどきかず、刻々と中継の時間は減っていく。 瞬時に気持ちを切り替え、残り時間で何を伝え、何を省くのか、頭をフル回転させなくてはならない。この時、頭が真っ白になったままだと、カメラの前の自分一人と、カメラの向こうの数十万、数百万人の視聴者という構図に気が付き、アナウンサーは、ものすごい孤独感に包まれる。 そして、その孤独感に負けてしまうと泣いてしまうのではないだろうか。この孤独感は、経験した者にしかわからず、イメージで言えば、数百万人の前で演説することに近いだろうか。皆が私を見ている。ミスをしたことに気づいている…というように。何せ、自身のミスが、数十万、数百万人に、一斉にさらされるのだ。恥ずかしさは、日常生活の比ではない。