“生きる力を信じる” 聴くことに徹する「いのちの電話」 命を救う相談ダイヤルが存続の危機
研修は1年8か月に及びます。 さらに3万円の受講料が必要。 これも自己負担です。
「消えたい」3時間超の電話も…
(相談員)「ゆっくりどうぞ。いけないことをして迷惑をかけているって、自分に価値がないんじゃないかと思ってらっしゃるのね。罪を償わなきゃいけないっておっしゃるけど、どういうことですか、もう少し詳しく聞かせていただけますか」 電話をかけてきたのは関東に住む30代の女性です。 家庭問題に悩んで自らを責め、命を絶つことをほのめかしました。 (相談員)「離婚はされているんですか?これからね。養育費をあなたが払うことになっているんですね。あなたはあなたとして辛いんですね」
この電話は1時間に及びました。 長いものでは3時間を超えることも珍しくないといいます。 (相談員)「辛くて苦しくて、そこから逃げたい、消えたいになっていく。途中は涙、涙で沈黙も長かったんですけど、その中でいろいろなことを考えられたんじゃないかなと思います。最後の“頑張ります”という言葉を聞けて、聞かせていただいてありがとうございますというかね、そんな気持ちになりました」
専門家は、電話で人と会話することの効果を力説します。 (札幌医科大学 医学部神経精神医学講座 河西千秋主任教授)「自殺を食い止めているのは、つながっている感なんです。電話を通してじゃないと伝わらないものがお互いにある、苦しんでいる人も自分で状況を伝える、助けたいとか話を聞きたい人の思いも電話を通してじゃないと伝わらない、そこは非常に大きいです」
たった1本の電話でも命を救えることがある。 杉本さんが嬉しそうに見せてくれたのは、事務局に届いた手紙。 「昔助けていただいたものです。去年、学校を無事卒業することができました。いまも死にたくなったり生きたくて仕方なくなったり、気分の上下はありますが、頑張って生きています。楽しさを日常に見いだしていきたいです」 (杉本明事務局長)「こんなふうに便りを出してくれるのは、力があると思います。電話の声に、私は一番大事なところがある。それは人が持つあたたかさ、誰かとつながっているよ、ひとりじゃないよ、それが一番伝わるのが声じゃないかなと思います」