エリザベス女王杯で人気薄のラヴェルが激走2着、理由を考えれば納得 井崎脩五郎のおもしろ競馬学
自信を持って切った馬に、来られてしまった。 11月10日(日)、京都の芝良2200メートルで行われたGⅠ・エリザベス女王杯で、2着に突っ込んできたラヴェルである。17頭立ての12番人気。単勝オッズ41.2倍という人気薄だった。 ラヴェルはデビュー戦を勝ったあと、つづくアルテミスS(GⅢ)で、リバティアイランド(のちの牝馬3冠)を破ったことで知られる。 その時点で2戦2勝。しかし、そのあとは【0・0・0・9】(数字は左から1、2、3着、着外の数)と、ことごとく着外に敗れていた。 以下はラヴェルの、エリザベス女王杯直前3走の成績である。 中山牝馬S 稍重・GⅢ 11着 マーメイドS 良・GⅢ 5着 オクトーバーS 良・オープン 6着 じつは、今回のラヴェルのように、「前3走ともGⅠ、GⅡ以外のレースに出走し、前走芝良で敗退」という馬は、エリザベス女王杯で、まったくといってよいほど好走したことがなかった。 このタイプは、これまでエリザベス女王杯にのべ80頭出走し、【0・1・5・74】という成績に終わっていた。 2着に1頭だけ来ているのは、1996年のフェアダンス。ただし、このときは、2位入線のヒシアマゾンが斜行で降着になり、フェアダンスが繰り上がって2着というもの。 連対は難しいという、こんなデータを抱えているのに、どうしてラヴェルは連対することができたのだろう。 レースが終わったあと、その理由を考えているうちに、「なんだ、そういうことだったのか!」と、膝を打ちたい気分になった。エリザベス女王杯は2200メートルで争われるのだが、なんと、今回のメンバーで2200メートルの持ちタイムが一番速いのは、ラヴェルだったのである。 馬家(ばか)と呼ばれたほど競馬好きだったSF作家の石川喬司さんいわく「競馬は、レース前は東大入試より難しく、終わると幼稚園のテストより易しい」。ホントだなあ。(競馬コラムニスト)