「検察なめんな」迫った検事の尋問始まる 無罪の元社長の国賠訴訟で
学校法人「明浄学院」の土地取引を巡る業務上横領罪で大阪地検特捜部に逮捕・起訴され、無罪が確定した不動産会社元社長が国に賠償を求めた訴訟で、捜査した検事らの証人尋問が11日、大阪地裁で始まった。 【写真】大阪地検特捜部の捜査の概要と問題点 開廷してまず、取り調べの録画映像の一部が再生された。「プレサンスコーポレーション」元社長・山岸忍氏(61)の元部下を取り調べた検事(52)が「あなたはプレサンスの評判をおとしめた大罪人」などと追及する様子が流れた。 山岸氏の刑事裁判ではこの映像をもとに「山岸氏も共犯」とする元部下の供述が否定され、無罪判決につながった。証人出廷したこの検事は、取り調べ中に机をたたいたことについて「明らかなうそをついても悪びれずに弁解を重ねる態度だったので、このままではちゃんとした供述が得られないと思った」と説明した。 「検察なめんな」と迫ったことについては、「不穏当な言葉ではあった」と弁解しつつ、「なぜ(元部下を)追及しているのかを理解してもらい、取り調べに向き合ってほしいと思って使った」と説明した。 午後には山岸氏を取り調べた検事(55)が出廷する。14日には学校法人元理事の担当検事(46)と捜査を指揮した主任検事(51)、18日には再び主任が出廷する予定。 山岸氏の逮捕を巡っては、法人元理事が「共犯」とする供述を撤回したのを受け、担当検事が主任に「逮捕を待った方が」と進言したとする経緯が陳述書で判明している。元理事と元部下は法人元理事長とともに法人の土地を売って21億円を横領したとして有罪が確定した。(山本逸生)
朝日新聞社